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【京都】純喫茶ブーム。おっちゃんがたまるレトロな喫茶店もいいもんですよ。

若い人の間で「純喫茶」がブームだという。レトロな内装や、クリームソーダ、ナポリタンなどの定番メニューが受けているようだ。もともとカフェより喫茶店が好きな私は、「ようやく、この良さがわかったかい? お若いの。ふっふっふ」とドヤっているのだが、京都にはもう一つ、「おっちゃん喫茶」とでも名づけたいジャンルの喫茶店が存在する。別におっちゃんだけが来店するわけではないのだが、そこはかとなく、ゆるい楽園ぽさがあって、そこが何とも好ましい。私が勝手に、おっちゃん喫茶のレジェンドだと考えている2店舗をご紹介する。

一つ目は下京区の「高木珈琲」。烏丸通と、高辻通に店があり、私は烏丸店に行くことが多い。がん封じの因幡堂(平等寺)のすぐ近くにある。
昔、ここでよくモーニングを食べた。厚切りトーストに、スクランブルエッグ、ポテト、ソーセージ、それとコーヒーがセットになっている。年齢のせいか、朝あまりたくさん食べられなくなり、しばらくご無沙汰していた。
久しぶりに昼時に入って、ピーナツバターのトーストとアイスオーレを注文。ピーナツバターが甘くてしょっぱくて、美味しい。アイスオーレに、こってりした生クリームが浮いているのは、以前と同じで懐かしかった。
ここで朝食を食べていた時、糸へん(着物関係)の仕事をされていたんだろうな、というおっちゃんやおじいちゃんに、よく遭遇した。物腰やわらかで、肌触りの良さそうなシャツをさらっと着たお洒落さん。そんなおっちゃんたちが、昨日の阪神タイガースの話をしながら、うだうだと、いつまでもだべっているのを見るのが好きだった。
そういうお店なので、スポーツ紙各紙と地元紙(京都新聞)がしっかり揃っている。スポーツ紙の一面を飾っているのは、阪神タイガースではなく、大谷翔平選手である。新聞は、既に大勢のおっちゃんが読んだのか、ほどよくやわらかく皺が寄っている。以前よく見たおっちゃんやおじいちゃんの姿は見なかったけど、その奥さん?のように見える白髪のおばあちゃんが脚を組んで煙草を吸っていた。カッコイイ。

高木珈琲で注文したアイスオーレとピーナツバターのトースト。

もう一つ、おっちゃん喫茶としてあげたいのが、中京区のユニオンである。ここでもアイスオーレを注文した。おっちゃんが2名ほど静かに休憩中。店の奥にテレビがあり、NHKの番組が流れていた。昔流行ったインベーダーゲームの卓が今も残っている。
以前は、備え付けの雑誌(週刊現代、週刊ポスト、アサヒ芸能、ビッグコミックなど。女性誌はない)をめくりつつ、のんびりしているおっちゃんが多かった。最近のおっちゃんは忙しいのか、スマホやノートパソコンを眺めている人が多い。それでも、表情は穏やかで、リラックスしている様子がよくわかる。
高木珈琲もそうだが、ユニオンも喫煙OKの店なので、ごく普通に灰皿が置いてある。すごくシンプルなアルミの灰皿で、昔、吉本新喜劇で島木譲二が自分の頭をたたく「ポコポコヘッド」という芸をしていたのを思い出した。インスタ映えはしまへんなあ。

ユニオンの店内。テレビに扇風機。計算していない感じが、しぶい。

そういえば、最近、若い男の人がおしゃれになったなあと思うことが増えた。美容院でパーマをかけ、髭を美しく整え、筋トレで絞った身体に細身のスーツ。脱毛とか、スキンケア、歯のホワイトニングにも通っているんだろうなあ。偉いなあ。だけど、私は、小綺麗な男の人があまり好きじゃない。
どちらかというと、仕事を一生懸命頑張ってきた、普通の白いシャツを着たおっちゃんが、こういう喫茶店でネクタイを外してぼんやりしている姿に、勝手にいじらしさを感じてどきどきしてしまう。
男性のみなさま、女性にモテたかったら、適度な隙があった方がよろしいかもしれませんよ。
わざとらしいのは、いけませんが。
おっちゃん喫茶で休んでいるのは、世の中の端っこの方で、真面目に働いている男性たちかもしれないけど、何だか、それがとっても愛おしい。
私も、おっちゃんの世界の住民になった、ということであろう。

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