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アフロ記者・稲垣えみ子先輩の『家事か地獄か』を読む。ずぼらな私も共感。

アフロヘアーがトレードマークの元朝日新聞記者、稲垣えみ子さんの本『家事か地獄か』(マガジンハウス)が出た。稲垣さんは、私が新聞記者だった頃の先輩である。私たちは2016年に朝日新聞社を辞めた。稲垣さんは東京で、夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしのフリーランス生活をおくっている。私は京都暮らしで、息子の独立を機にライター生活を始めた。稲垣さんとはタイプが全く違うため、別世界の人のように感じていたが、本を読むと似たところもあって興味深かった。
※一部、本の内容に触れる部分があります。ご注意ください。

『家事か地獄か』を読み始め、稲垣さんの1日のスケジュールに目が留まった。早起きして洗濯と掃除、ヨガやピアノの練習、近所のカフェで原稿書き。夕方、銭湯に行った後、晩酌を楽しむそうだ。
おや、私と似たところもあるじゃないですか。
私は日の出とともに飼い猫に起こされる。ささっと掃除、洗濯を済ませ、近所の喫茶店で新聞や雑誌を読み、自宅で原稿書き。夜、晩酌はしないが、銭湯に行くのは稲垣さんと同じである。お風呂の掃除がめんどくさいからね。
そう、私の性格を一言で言うと「ずぼら」。これにつきる。

『家事か地獄か』は、稲垣さんが家事によって様々な悩みから脱出した話である。ご本人は「ラク家事」なんて書いておられるが、すごくストイックに見える。
私は家事が嫌いで、できればしたくない。これからも進んですることはないだろう。
それでもやっぱり、私たちは近いところにいる気がしてならなかった。

稲垣さんと私は、ともに独り暮らしである(私は猫を2匹飼っている)。
稲垣さんは節電生活を極める中で、冷蔵庫を手放した。
私も今ある冷蔵庫が使えなくなったら、新しいものを買わない気がする。
家事が心底面倒くさいので、食事をすべて外食にするか、パンや宅配弁当にすることを考えているからだ。
費用を考えて1食抜くかもしれないが、少食になったので困らないだろう。
電子レンジや炊飯器も、今のものが使えなくなったら買わないかも。
日々の献立を簡素に、家事を工夫している稲垣さんと比べると、まことに恥ずかしい話だが、やっていることは似ている。
家にないものは、外で調達すればいいや、というのが私の持論である。

稲垣さんは新聞社にいた時、切れ味鋭い名文家で知られていた。スリムで雑誌から抜け出たようなファッションが似合い、格好いい女性記者の見本みたいな人だった。
私は冴えないコブつきの記者で、水を飲んだだけで太るぽっちゃり型。片付けが苦手で机は散らかり、真面目でダサい記者の見本みたいなものだった。

だから、私は稲垣さんと自分は違う世界の人間だ、と思っていた。
部署も違ったので、それほど話さなかった。
勝手にひがみ、いじけていたのである。

朝日新聞社を辞めた後、稲垣さんと会ったことはない。
それなのに親近感を感じるのは、私たちが50代になり、人生のゴールが見えてきたためだと思う。
独身者も、コブつきも、人間、最後は独りになる。
その先に死が訪れる。これも、みんな平等である。
何だか寂しいね。

もう一つ、稲垣さんと私の共通点は、「まち」に暮らしていることだ。
行きつけの銭湯があり、居酒屋があり、喫茶店がある。
私はそのおかげで、ニャンコとしか話さない毎日から逃れられている。
ありがたいことである。





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