第75回『モラリスト幸太郎の熱血指導で僕がクズから脱せた話』
うぃす! 大阪男塾の塾長です。
半生を振り返る度に「幸太郎と過ごしてる時間がめっちゃ長いんやな」と気づきます。たぶん親より長いっす。
僕が現役ホストだった頃の付き合いで、今では大阪男塾というトリオのメンバー。腐れ縁っすね。
僕らも40歳を超え「中年の中の中年」て感じっすが、実は内心、幸太郎に感謝してるんすよ。
僕は運動部でがっつりしぼられて理不尽な矯正を受けたこともあるんすけど、マイペースなんで何も心には響かず刻まれず、会社に勤務してそこのしきたりをがっつり教え込まれたこともありません。
かなり自由に生きてきた分、社会で常識とされる、あんなことやこんなことを、結構知らないまま育ってきたところがあるんすよね。
社会の鋳型にはまらないまま、大人になったんでしょうね。
水商売は特殊な価値観の業界なので「夜職の常識は、昼職の非常識」という面も多々あるんやないすかね。
そんな僕に「塾長、それはあきません」と幸太郎は注意を続け、教育し続けました。
幸太郎って「〇〇委員」て感じで、モラル違反を取り締まらせたらほんま天下一品。
真面目という理由だけで「万年1回戦BOY」なのにテニス部のキャプテンに昇格したほどのヤツっす。
今思うと若い頃の僕は「クズやな」という行動が多くて、ゴミをちゃんと捨てなかったり、借りたものを失くしたり、待ち合わせの時間に遅れたりと、あかんことばかりしてました。
一応、僕は幸太郎の上司に当たる立場なんで上のポジションなんですが、年齢は幸太郎の方が1歳上なんですよ。
僕は年功序列という考えは嫌いじゃないっすから、幸太郎は「部下やけど人生の先輩」という、ややこしい関係性なんすよね。
そう言うたら僕が20代の頃に、こんなことがありました。
僕はこの頃、調子に乗ってた時期やったんで、そのときの彼女に「あれして、これして」と甘てまくってたんですね。
一回その彼女に「俺の家のベランダ汚れてるねん。今度、デッキブラシを渡すから、それでゴシゴシ磨いてくれへん?」と頼んだんすよ。そこに幸太郎も居合わせたんすけど、幸太郎が細い目をかっと見開いて「拓真さん、それは100%間違ってます!」と主張してきたんす。
幸太郎はストレートな奴なんで、怒るともろに顔に出ます。たらこ唇がぷるぷる小刻みに震えます。
彼は昔気質の男なんで「あかんもんは、あかん」と頑固なところがあります。でも、そういう本音で接してくれるところが、ありがたいんすよ。
「自分の家のベランダくらい、自分で磨くのが当たり前でしょ。なんで人にやらすんすか!」とまだ怒ってたので「おお、わかった」と彼の言葉を受け取りました。
ここまで幸太郎が主張することって、あんまりないんすよ。「よっぽど俺がひどいこと言うてるんやな」と反省し、ベランダは自分でゴシゴシ磨きました。
そこから僕は、女性にちゃんと優しくなった気がします。
僕はサイコパスなんで冷たいところがあるんすけど、幸太郎は僕とは反対に良心があります。
なので実は「幸太郎が本気で叱ってきたら、行動を改善する」って決めてるんすよね。
水商売の世界に長くいるとそっちに染まって、世間の常識とは全然違う価値観で生きる人が多いです。でも幸太郎は「どの業界に身を置こうが、自分は自分」という考えですね。だからこそ、モラルをええ感じで保ったまま、ホストの世界で生きられてる珍しいヤツなんすよね。
僕はオーナーなんで、好き放題しているように思われがちっすけど、トップの地位にいる人ほど、下から意見具申されたときは、ちゃんと耳に入れた方がいいっすね。
あっ、幸太郎に言われても全然直らんかったことがひとつありました。
遅刻っす。
僕はいつも待ち合わせ時間の2分後、3分後に到着する癖があるんですが、この悪い癖は今でもたまに顔を覗かせますね。
また幸太郎に「時間はちゃんと守ってください!」と、たらこ唇を震わせながら叱ってもらわんとダメっすね。
最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!