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Buona Pasqua〜復活祭の日に

Buona Pasqua. 本日は復活祭主日の日曜日。
2011年の春もこの時期特別な思いを馳せました。
あの時も変容する世界に向かって震えるような気持ちでした。
そして今また #コロナウィルスのパンデミック の中で、
すべての価値観や概念が変わろうとしています。
この嵐の中で私たちが失ってはならないものは何なのだろう。
この苦難と混乱に一筋の復活の光がさしますように。

春を告げるPASQUA


私たち日本人が心待ちにする春の知らせといえば、やはり桜の開花ですが、イタリアで春の到来を告げるのがPASQUA、つまり復活祭です。
私たちがヴェネツィアに通いはじめた頃、ゴールデンウィークの連休を挟んで行くことが多かったので、復活祭の時期にやって来る渡り鳥みたいな連中と思われていたこともありました。
復活祭の頃になると、それまで不安定だった気候は、急に覆いを取り払われたようになり、呆れるほど明るく晴れわたった空が広がります。
実際、この季節のヴェネツィアはたとえようもなく美しく、どこからみても(ヴェネツィアを賞賛する決まりの形容詞)晴朗なる=Serenissima
讃えるにふさわしいのです。
藤やクレマチスの花々が古い石塀と調和して路地や小運河を彩り、
町のお菓子屋=パスティッチェリアの店先には復活祭のお菓子、
鳩の形のパン菓子コロンバや、小鳥や卵をかたどった色とりどりのお菓子
が並びます。町ゆく人も「BuonaPasqua=ブオナ・パスクア」と口々に
挨拶を交わします。暗い冬が去り春が来る、そして復活祭の連休もあるので、誰もがなんとなくうきうきした気分に満たされています。

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PASQUAのお菓子コロンバ画像2

キリスト教最大の重要なお祭り

復活祭は春分後の満月の日を基準に計算する移動祝祭日で、
年によって日にちが変わります。
復活祭は本来、教義的にはクリスマスよりも意味のある
キリスト教最大の重要なお祭りです。
イエス・キリストがエルサレムに入城(灰の水曜日)してから、
金曜日に十字架にかかり、そして3日後に蘇るまでの受難と復活の過程を
聖なる1週間
として辿り、その体験を共有しようというものだからです。
しかも、この時期はもともとユダヤ教の「過越の祭」にあたるので、
ユダヤの人たちにとっても最も大切なお祭りとなっています。
今日という日、クリスチャンでなくても、キリストの受難と復活について考えを巡らしてみてもよいかもしれません。

こちらの絵は初期ルネサンスの画家、ピエロ・デラ・フランチェスカの
「キリストの復活」。画家の生地であるイタリアはトスカーナの
サンセポルクロにあります。
オルダス・ハクスリーが「世界で最も素晴らしい絵」と称賛したといわれています。ハクスリーがどう感じたかは分かりませんが、典雅な画風の
ピエロの作品のなかでも飛び抜けて力強い印象を受けます。
個人的には「世界の覚醒」という副題をつけたい。

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困難の中にある時、「復活祭」という言葉はひときわ私たちの心に
染み入ります。
今年はヴェネツィアでも外出制限や飲食店の営業自粛中で、
静かなパスクアを過ごしていることでしょう。
次にヴェネツィアに行けるのはいつになるのか、と考えると遠く切ない気持ちになります。復活祭の今日、私たちの世界に幸あれと願う。

「PASQUA」2011年ブログの記事、震災後の復活祭の日に。

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つのいてんこ
デザイナー、美術家、料理家。イタリアはヴェネツィアに通い、東京においても小さなエネルギーで豊かに暮らす都市型スローライフ「ヴェネツィア的生活」を実践しています。ヴェネツィアのマンマから学んだ家庭料理と暮らしの極意を伝えます。