見出し画像

2025年始動!今年以降の日本・世界のロケット打ち上げ予定

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

『今日から使える宇宙豆知識 by JAXAベンチャー天地人』では、宇宙に関連するさまざまな最新情報を、天地人のエンジニア、研究者、ビジネスリーダーが一歩踏み込んで解説します。

2025年がはじまりました! 今年もよろしくお願い致します。
天地人では各国のロケット打ち上げが近づいてくると、社内コミュニケーションツールSlackでの情報交換が活発になり、成功か失敗か・・・・・・固唾をのんで見守っています。
今回の記事では、天地人社内の盛り上がりの一端をみなさんにも感じていただくために、日本・世界のロケット打ち上げ計画(2025年)を紹介します。


1.日本(JAXA)の打ち上げ予定

JAXAでは2024年度以降に打ち上げる予定の人工衛星・宇宙機をホームページで紹介しています。ここでは、2025年に打ち上げ計画のあるものを紹介します。
(打ち上げ予定は変更になる可能性があります。最新情報はJAXAホームページにてご確認ください。また、2026年以降に打ち上げ計画がある人工衛星・宇宙機については取り上げておりません。)

(1)みちびき6号機

昨年末に打ち上げ予定日が発表された「みちびき6号」が、日本にとって2025年一発目の打ち上げになる予定です。利用されるロケットはH3ロケット5号機で、打ち上げ日は2025年2月1日を予定しています。

みちびき6号機は、GPS衛星と同種の測位衛星です。6号機ということは、既に初号機から4号機までが打ち上げられ、現在は4機体制で日本向けに高精度測位サービスを提供しています。

みちびきシリーズの衛星が打ち上げられる軌道は準天頂軌道で、静止軌道とは異なる軌道ですが、日本の上空により長く滞在できる軌道となっています。
また、常時日本の上空に4機以上のみちびき衛星が存在することで、より正確に測位することが可能となるため、さらに3機を追加する予定となっています。みちびき6号機は追加3機のうちの第一弾ということになります。

測位衛星については、下記のnoteで解説していますのでぜひご覧ください。

(2)HTV-X

2025年度に打ち上げが予定されている「HTV-X」。国際宇宙ステーションへの物資補給を担っていた「こうのとり(HTV)」の後継機となる新型宇宙輸送船です。
こうのとりは2020年に退役していますので、日本にとって約5年ぶりの宇宙輸送船となります。なお、HTV-Xでは、運べる物資の重さがこうのとりの1.4倍(約5.8トン)とパワーアップしています。

HTV-Xは手始めに国際宇宙ステーションへの実験装置の輸送が計画されているほか、宇宙空間で小型衛星を分離する機能が追加される予定です。
さらには、国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」で建設予定の月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」への物資輸送を担うことも見据えられています。

(3)GOSAT-GW

気候変動への取り組みに観測データから貢献する可能性がある、「温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)」も、2025年度以降に打ち上げが予定されています。

GOSAT-GWは、温室効果ガスを観測するTANSO-3と、水蒸気・降雪・海面水温などを観測するAMSR3の2つのセンサを搭載予定です。

  • TANSO-3

    • 温室効果ガス観測センサ

    • 回折格子型分光方式を採用し温室効果ガスを空間的に詳細化した観測ができるセンサ

    • 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、二酸化窒素(NO2)を観測

  • AMSR3

    • 高性能マイクロ波放射計

    • 地表面および大気から自然に放射されているマイクロ波を観測することができる受動型センサ

    • 主に、海面の温度、大気の水蒸気量、降水量、海氷の分布、積雪の厚さなどの状況を知るために用いられる

温室効果ガスの観測等、宇宙業界におけるメタン排出量削減に関する取り組みは下記の記事で解説しています。

(4)ETS-9

天地人としても大注目なのが、「技術試験衛星9号機(ETS-9)」です。ETS-9は、次世代の通信機器を搭載し、各種の最新技術を実証するための衛星となっています。
例えば、

  • 全電化衛星技術

  • 静止GPS受信機を用いた自律軌道制御

  • 大電力化/高排熱技術

  • フルデジタル通信ペイロード

等の技術を実証する予定です。

天地人では、フルデジタル通信ペイロードに関連した技術開発を共同研究してきました。
フルデジタル通信ペイロードとは、軌道上での柔軟な通信機器の設定変更等が可能なペイロードで、通信ビームの照射地域や通信容量(周波数帯域幅)等の柔軟な機能変更が可能となります。
天地人では、柔軟な通信機器の設定変更のために役立つ、気象(降雨・雲)や航空機・船舶の位置に関する予測データの提供に関する研究開発を行ってきました。

ETS-9の詳細な打ち上げ時期は現時点で未定ですが、成功を見守りたいと思います。

天地人のこれまでの技術開発に関する詳細は下記の2つの記事をご覧ください。

(5)革新的衛星技術実証4号機

革新的衛星技術実証4号機は、革新的衛星技術プログラムの第4回目となる実証衛星群を指しています。「小型実証衛星4号機(RAISE-4)」と8機のキューブサット の計9機の衛星群で構成されています。
革新的衛星技術プログラムでは、大学や研究機関、民間企業等が開発した部品や機器、超小型衛星、キューブサットに宇宙実証の機会を提供しています。
2年に1回の打上げ実証を計画しており、実証テーマは公募で選ばれます。

実証3号機は、惜しくもイプシロンロケット6号機の失敗で失われてしまいましたが、4号機では大学・高等専門学校・研究所・民間企業から16の実証テーマが選定されています。

個人的には、筆者の大学同級生の実証テーマが選定されており、打ち上げが成功してほしいなと強く思っています。


2.世界の打ち上げ予定

ここからは、世界(主に、米国・欧州・ロシア・インド)の2025年6月までの打ち上げ計画を紹介していきます。
SpaceXのロケットやAmazon創業者のジェフ・べゾスが設立したBlue Originのロケット等、注目の打ち上げが目白押しです。


以降の内容は有料となります。
(この記事のみ購入する場合は、200円です。月に3~4記事が月額500円になるサブスクリプションプランもご用意しております。)
天地人へのご質問・記事に関するご感想・記事の内容のリクエスト等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

ここから先は

4,147字

¥ 200

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる