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#見える地下 道路に書いてある記号を読み解こう!

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

『今日から使える宇宙豆知識 by JAXAベンチャー天地人』では、宇宙に関連するさまざまな最新情報を、天地人のエンジニア、研究者、ビジネスリーダーが一歩踏み込んで解説します。

みなさん、突然ですが下の写真のような光景を日常生活で目にしたことはありませんか?

日常生活の中に溢れている謎の道路表記。今まであたりまえにスルーしてしまっていたと思います。しかし、これらの記号は理解が容易な上に、読み解くことができるだけで、地下の様子が推測できてしまうのです!そう言われると気になりませんか?

ということで今回の記事では、この道路に込められたメッセージを解読していきたいと思います。天地人のメンバーが実際に見つけた記号とその写真をもとに、道路上の記号の謎をひも解いていきます。


1. 東京で見つけた多くのメッセージ!

まず東京を歩いていてはじめに見つけたのは、柱のような絵にWやGが書かれ、その下に数字が書いてあるメッセージでした。

どうやらこれは、WがWaterで水道管、GがGasでガス管をそれぞれあらわし、数字はその管の長さをメートル単位で示しているそうです。つまりこのメッセージは、「ここには1.05mの水道管と0.8mのガス管が通っている」ということになります!

続いて見つけたのは、さらに難易度が高そうな多くの記号でした。
先ほど学んだ通りに推測していくと、Gはガス管と推測できますが、TとEは初見です。
実は、TはTelephoneで電話線、EはElectricで電線になるそうです。

ちなみにこれらの記号が先ほどと異なる点は、一方向の管や線だけではなく、ガス管が交差しているという点です。地下の様子がだいぶ立体的に見えるようになってきました。楽しい!

〇で囲まれているWは上水を表し、今回は見つけることができませんでしたがDがDrainで下水を表すそうです。左側のマンホールを開けてみたらおそらく上水が流れているんでしょうね。

なぜこのような記号が存在するのか気になり調べたところ、道路工事における「埋設物の事前確認」のためでした。

道路工事を進める際、地下に埋設された既存の管やケーブルを誤って損傷しないよう、事前に「何がどこに埋まっているのか」を確認する作業が必要不可欠だそうです。国土交通省の資料によると、ガス管や水道管、光ファイバーケーブルなど、さまざまな埋設物が工事中に破損するケースが報告されています。こうした地下埋設物の損傷による事故を防ぐためには、事前確認が欠かせません。  この事前確認は、具体的に以下のような手順で進められています。  

1. 工事計画の立案  
ガス管や水道管の新設・修理など、工事計画が立てられます。  

2. 台帳を確認し、事前マーキング  ←ここで初めて記号が生まれるのですね!
施工予定地の地下構造を示す台帳を確認し、おおよそどのような管が埋まっているかを推定。地面にその位置をマーキングします。  

3. 試掘作業  
施工予定地に埋設物を管理する企業(例:ガス会社、水道局、通信事業者など)の担当者が集まり、実際に試掘を行います。  

4. 埋設物の実際の位置をマーキング
試掘箇所を埋め戻す前に、発見した管やケーブルの正確な位置を地面にマーキングします。これにより、台帳との差異を明確にします。  

5. 工事の実施と仮舗装
予定していた工事(例:ガス管の設置)を進めた後、仮舗装を行います。  

6. 周辺工事の完了後に本舗装 
工事エリア全体の作業が完了した段階で、正式な舗装(本舗装)が行われます。  

安全で効率的な工事を実現するために、地下の埋設物を事前に調査するこのプロセスは欠かせないステップですね。

加えて、下の写真の左側をよく見てみると緑色の文字でGと書かれたテープが2枚貼ってあります。貼り方にも何か意味がありそう・・・・・・

これは、ガス管のGであるのは今までと変わりませんが、同じ場所に複数の「G→」マークが貼られているのは、細かく表示することで、さらなる事故の回避を目的としているという訳です。つまり貼っている方向はガス管が伸びる方向性を示しているのですね。

正式名称は「ガス管用スコッチレーン」の道路標示というらしいです。スコッチレーンとはアルミホイルを基材とし、シートの上から圧力を加えるだけで施工できる感圧性接着剤を塗布した路面標示材のことを指します。

また、「G」の色にも緑色と赤色の2通りがあるそうです。1つ前の写真をよく見ると赤色の文字でGと書かれています。緑字はポリエチレン管、赤字は鋼管とのこと。

調べてみて驚いたことがありました。古くからある金属製の管である鋼管は錆びによって老朽化し、ガス漏れが生じる可能性があるため、最近はポリエチレン管を採用することが多くなっているようで、赤字の「G→」マークは今ではかなり珍しいそうです。

そして別の場所では、と、と、東京メトロのロゴ・・・・・・!?
なんと地面に東京メトロのロゴがくっきりとありました。これはどういうことでしょうか。

実はこれは舗装の修繕ではなく「試掘調査工事」によるものでした。
例えば、地下鉄のトンネルを建設する場合、水道管など既存の埋設物を傷つけたり壊したりしないよう注意する必要があり、場合によっては埋設物の移設も必要になります。そこでトンネルの工事に着手する前、埋設物の位置や大きさなどを確認するための「試し掘り」を行い、埋設物の位置などを確認したら、埋め戻して再舗装します。「M」マークは工事の責任者が誰であるかを示しているため、この場合は東京メトロが責任者ということですね。

つまり、このマークを見つけたということは、近いうちにその鉄道会社の路線のどこかのトンネルで工事が行われる可能性があるということでしょうね。なんと、地下の様子だけでなく、工事計画まで読み取れてしまうのです!

では、続いて少々難易度が高めな道路の暗号を読み解いていきます。

このエリアはNTTが責任者ということがまず分かりました!そして、新しく出てきたΦは水道管の直径を表す際によく使用される記号だそうです。

明確なもののみピックアップしてみると、左から「Φ200の水道管0.6mと電線0.9m、0.5-0.8mの何かの管または線が2本とそれに交差する1本の管または線、ガス管1.20mが上方向に伸びている」ということが推測できました!ちなみに桜が描かれているマンホールをよく見ると、「合流」と書いてあるのでもしかすると0.5-0.8mの表記は水道管なのかもしれませんね。

最後に、もう一つ暗号がたくさん書いてある道路も読み解きます。

管や線が垂直に交わり合っていないエリアを見るのは初めてです!これはくっきりと書かれているので読み解きやすいですね。

右上から反時計回りに見ると、「責任者がNTTで、0.55mの電線2本、0.55mの電線が1本、Φ200の下水管が400m2本?」ですかね。

下水管400mはなかなか長いですね。今回は見ることができませんでしたが、おそらく橋などが近くにあれば、本当に下水管があるかどうか確認することができて楽しいですね。

ちなみにX(旧Twitter)で「#見える地下」というハッシュタグを検索すると、今回取り上げた記号だけでなく、様々な新しい発見ができます!

2. 日本だけじゃない!海外の道路の暗号!

前の章で紹介した道路の表記は日本国内、特に東京のものになりますが、実は海外にもこのような表記が存在しています。ここからは、海外メンバーが撮影した実際のホノルル(ハワイ)とマレーシア(クアラルンプール)の道路表記を読み解きます!

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