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「嫌われる勇気」とアドラー心理学:カイロプラクターの視点から
今回は、岸見一郎さんと古賀史健さんのベストセラー『嫌われる勇気〜自己啓発の源流「アドラー」の教え〜』についてお話しします。最近、てんびんカイロプラクティックに通われている方とこの本の話になり、以前書いた内容を少し書き直してみました。
私はカイロプラクターとして身体の施術を行っていますが、同時に心理学にも関心があり、施術に活かしています。身体の不調は、心の状態と密接に関係しています。特に、自律神経の乱れによる不調は、考え方や人間関係のストレスが大きく影響していることが少なくありません。アドラー心理学の考え方は、そうした心と体のバランスを整える上でも非常に参考になります。
すべての悩みは人間関係にある
心理学者アルフレッド・アドラーは、「人間の悩みのすべては対人関係にある」と提唱しました。これは、私たちが「課題の分離」を十分に理解できていないことが原因です。
例えば、子どもが勉強しない場合を考えてみましょう。 アドラーの視点では、「勉強するかどうか」は子どもの課題であり、親の課題ではありません。
親が「勉強しなさい」と強く言い過ぎると、子どもは反発し、勉強に対する意欲を失ってしまうことがあります。親としては「子どものため」と思っているかもしれませんが、実は無意識のうちに世間体や支配欲が影響していることもあります。
アドラーの「課題の分離」を実践するならば、親は子どもに「勉強しないとどんな影響があるのか」や「勉強の楽しさ」を伝えつつ、必要なときにサポートできる立場でいることが大切です。
変えられるのは自分だけ
人は、他者を変えることはできません。変えられるのは、自分の行動や接し方だけです。子どもが自ら勉強したいと思えるように、話し合ったり、一緒に学ぶ楽しさを見つけることが大切です。
これは、カイロプラクティックの施術でも同じことが言えます。施術を通じて私はカイロプラクターとしてお客様の身体のバランスを整えますが、お客様ご自身の生活習慣や考え方も影響するため、根本的な改善にはお客様の「自分自身の意識」も重要になります。
意欲ややる気を引き出すには
「見守る」という行為は、時に時間がかかり、遠回りに思えるかもしれません。しかし、相手が自ら成長しようと思ったとき、その変化はとても力強いものになります。
これは、整体やカイロプラクティックでも同じことが言えます。「誰かに治してもらう」という依存的な考え方ではなく、「自分の身体を整えるために行動する」という意識を持つことで、より良い結果が得られるのです。
まとめ
私自身も、日常の中でつい「課題の分離」ができずに接してしまうことがあります。しかし、アドラーの教えを活かすことで、より良い人間関係を築き、心と体のバランスを整えることができます。
「課題の分離」という考え方は、カイロプラクティックの施術にも通じるものがあります。身体の不調があるとき、自分自身の生活や考え方を振り返ることも大切です。心と体はつながっており、そのバランスを整えることが健康につながるのです。
アドラー心理学に興味がある方は、ぜひ『嫌われる勇気』を読んでみてください。そして、身体の不調を感じたときは、心の状態にも目を向けることをおすすめします。
参考文献
岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』