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コロナによって激変したスポーツビジネスのこれから

こんにちは!テナアダムのかわうち(@KENGO_Kawauchi)です。
今回は「コロナによって激変したスポーツビジネスのこれから」を考えてみたいと思います。

長引くコロナの影響により、興行スポーツは大きな変化の波に晒されています。
従来のスポーツビジネスにおける収益構造は見直しを余儀なくされています。そして、今後どう進化していくべきか?を待ったなしで考えないといけない局面にきています。


従来のスポーツビジネスの収益構造

まずはじめに、従来のスポーツビジネスの収益構造について触れておきたいと思います。

スポーツビジネスにおいては、大きくは4つの収益の柱があります。

①チケット収入(BtoC、BtoB、BtoBtoC)
②スポンサー収入(BtoB)
③グッズ/物販収入(BtoC、BtoBtoC)
④放映権収入(BtoBtoC)


ちなみにプロ野球においては入場料(チケット)収入がメインで、売上の34%をチケット収入から得ています。※東北楽天イーグルス参照

売上構成.001

参考:東洋経済ON LINE(https://toyokeizai.net/articles/-/213971?page=2)


また、Jリーグの場合は、収入の45%はスポンサーから、19%は入場料からとなっています。

売上構成j.001

参考:クラブ個別経営情報(https://aboutj.jleague.jp/corporate/management/club/)


コロナによって起きた変化

コロナによってスポーツ界ももれなく打撃を受けました。
そして「密の回避」というコロナにより引き起こされた大きな変化によって、そのあり方を再考しなくてはならない状況になっています。
この影響でスタジアムの入場者数は制限され、入場料収入の激減につながっています。

プロ野球でいうと、スタジアムの入場者数は、首都圏においては最大1万人を上限にしています。参考にした東北楽天イーグルスは、収容人数の50%で、1万5,600人を上限としています。

つまりは、このままの状態が続くとイーグルスの場合、最大の収入源であったチケット収入が半減してしまうということです。
東京ドームは収容人数5万5,000人なので、上限1万人だとジャイアンツのチケット収入は80%減になってしまうのです。

今までは、満員のスタジアムで熱気と共に応援しよう!的な訴え方は当たり前であり、各チームも如何にスタジアムを満員にするかがチーム運営における重要な施策のひとつでした。
スタジアムにたくさんの人に来てもらうためにどういう取り組みをしていくか?を考えることが重要だったわけです。

しかしながら、コロナの影響により、そのような施策は見直しを迫られています。なぜなら今後、ファンが「満員のスタジアムに行きたい!大声で応援したい!」というような行動を欲するかはかなり懐疑的になったからです。

つまり、非接触やソーシャルディスタンスをスタジアムでも設けることが当たり前になる可能性が高いため、入場料収入を収益の柱にしておくのは大きなリスクということが言えます。


今後スポーツ界が取り組むべきこと

では、今後どうしていくべきか?ということを考えてみましょう。

今までの収益機会(タイミング)を考えると以下のようなものでした。

売上構成_3.001

当たり前ではありますが、収益機会は、「試合の開催される日に、試合(スタジアム)を通じたもの」がほとんどです。

入場制限を含め、コロナによっておきた心理的な変化を考えると、今後は下記の①〜③の象限で収益獲得の模索をする必要が出てくると言えるでしょう。

売上構成_4.001

①試合が開催されない日のスタジアム内
②試合が開催されない日のスタジアム外
③試合が開催される日のスタジアム外

スタジアムの有効活用が難しくなった今、特に上記の②③の「スタジアム外での収益獲得」がキモになってくると感じています。

また、試合のあり方についても再考すべきと感じています。
つまり、試合を「どこで・どのように・誰と観るか?」という観点からも検討していくべきということです。

試合観戦をベニュー(行為発生地)という切り口でみると、大きく3つが存在します。

ベニュー①:スタジアムでの観戦
ベニュー②:自宅での観戦
ベニュー③:パブリックビューイング(PV)、スポーツバー等での観戦

ちなみに余談ですが、10年くらい前でしょうか、DBJ(日本政策投資銀行)のスマート・ベニュー®︎というものもありましたね…


さて話は戻りますが、スポーツのベニューが断絶していることを新たな施策によって改善・変化することができれば、今後のビジネスにおいて大きなチャンスになるのではと考えています。

下図のように、それぞれのベニューはそれぞれの良さがあるものの、それぞれが断絶されているとも捉えることができます。

売上構成_5.001

今までは、「1人から数人単位での観戦が基本であり、どこで観るか?」という切り口でファンはベニューを選択していましたが、これからは「ベニューの壁を超え、横串を通すことにより、不特定多数とどのように観るか?」という切り口を考えていくべき段階(ファンに提供していく段階)にきていると思います。

このような考え方により、新たな観戦のあり方を提供できれば、入場料収入に頼りすぎない新たな収益獲得の可能性が見えてくると思っています。

ちょっと補足しますと、スタジアム観戦では何と言っても、生で観るその迫力と興奮を得ることができます。
自宅観戦ではデータや解説を即座に入手できる(放送される)ので、より深い観戦ができます。
そして、スポーツバー・PVは、スタジアム観戦と自宅観戦(ベニュー①②)の中間的かつ良いとこ取りな位置づけで、スタジアムのように知らない人との盛り上がりや議論が可能でもあり、自宅のようにデータや解説も手に入れながら観戦できるということでもあります。

しかしながら、スポーツバー・PV(ベニュー③)はコロナによって飲食店への様々な制限があることにより、いいとこ取りは難しくなったと言えるでしょう。

先ほどの「ベニューの壁を超え、横串を通すことにより、不特定多数とどのように観るか?」という切り口を考えていくべき段階(ファンに提供していく段階)にきている、とはつまり、スタジアムでも、自宅のような情報やデータの入手ができたり、自宅やスポーツバー・PVでも、スタジアムのような生に近い迫力と興奮を得られる仕組みがビジネスチャンスとして重要になってくるだろうということです。

例えば、
スタジアムでは、
・手元のタブレットやスマホに、リアルタイムのトラッキング情報や解説データ送られてくる

自宅やスポーツバー・PVベニューでは、
・VR観戦により、より生に近い感覚での観戦を享受できる
などです。

収益獲得の機会を「試合の開催される日に、試合(スタジアム)を通じたもの」に依存し過ぎず、新たな取り組みやチャレンジが急務になっています。
また、新たな取り組みが普及する過渡期でもあると感じますので、思い切ったチャレンジを期待している次第です。

今回は具体的にこのような取り組みをすべき的なところまでは踏み込みませんが、いちビジネスパーソンとしては新しい切り口のビジネスサポートを頑張っていくとともに、いちスポーツファンとしては明るい未来を期待しています。


もしよかったら以前アメフトについても書いてますので読んでみてください!

以上、元高校野球監督でもあり、スポーツ愛好家のかわうち(@KENGO_Kawauchi)でした。

お読みいただき、ありがとうございました!!


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