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鬼滅の刃が意図していた以上にヒットした理由

幼少期から漫画とアニメをこよなく愛して大人になりました。
テナアダムのずみです。

新年一発目ですが、今回は週刊少年ジャンプで連載していた【鬼滅の刃 (2016-2020年) がヒットした理由とは?】について、個人の偏見とオタク的主観で綴らせていただきます。

鬼滅の刃の内容はなかなかにシリアスで、また残虐性を兼ね備えているにもかかわらず、初公開映画が興行収入346億円(2021年1月7日現在)と国内では歴史に残る数字を叩き出しています。
さらには『原作漫画、同タイトルのアニメを見たことがない人』も確実に劇場に足を運んでいるという点。
これらに注目してヒットの秘密を考えていきたいと思います。

※本記事は盛大なネタバレを含みます。同時に鬼滅の刃を知らなくてもできるだけわかるように解説していきます。


ヒットの理由

ヒットの理由、ずばりそれは一般受けした事。
ここで言う一般受けとは、普段漫画を読まない、アニメを観ない層に評価されたという事です。
では、何故そういった一般層に受け入れられたのか、私なりに考えてみました。

まずは、話が明快で分かりやすかったこと。
鬼滅の刃のストーリーは主人公の炭次郎が鬼にされた妹を人間に戻すために頑張る話です。この一言で説明できる程 主人公の軸はブレず、また後から設定が加わることもありません。 

味方や敵を含め個性あふれる魅力的なキャラクターがたくさん出てくる本作ですが、その各人のバックボーンは本誌内では必要最低限のキャラクターしか深掘りせず、物語の進行はあくまで妹を人間に戻すことに重きを向いています。

このキャラクター達により、わかりやすい物語に噛み締めるような深みが生まれ、様々な人を虜にしました。
(あくまでストーリーメインの構成なので主要キャラクター以外の逸話や深掘りできる部分などは、巻末などのこぼれ話やコラムとして書かれており、隅々まで楽しめる作品となっています。)
正直1人のキャラクターで1つの記事が書けちゃうくらい奥が深いです。興味があればリクエストをいただければ頑張ります(笑)

さらには少年漫画に必須と言える敵の存在もわかりやすいです。
そうです。です。

これもラスボスの名前が最初から明確になっている上に、そのラスボスを倒して物語が終了するという綺麗な最終回を迎えています。

これは23巻で完結している手軽さにも繋がっていきます。
例えば同じ週刊少年ジャンプで連載していたNARUTOは全72巻。国民的アニメとも言われているONE PIECEは95巻(連載中)と、正直今から読み始めるのは難しいレベルの大長編となっております。
これでは一般層導入へのハードルが高すぎますよね。
誰もが知っているタイトルなのに、話の内容を詳しく説明できる人は少ない。
そんな構図が生まれてしまっています。

そして鬼滅の刃と比べていただきたいのは下記の2点。

1. NARUTOの主人公の目的は火影になること。ONE PIECEの主人公の目的は海賊王になること。こちらは連載初期から上記の主人公達がよく言葉にしている目標ですが、まず火影って海賊王って何ぞ?ってお話になっちゃうんですよね。

物語を読んでいる人ならば何の抵抗のない単語なんですが、全く知らない人に説明するにはそれなりに補足が必要。それと比較すると、鬼滅の刃の導入部分のわかりやすさと手頃さが、文字通り老若男女に受け入れられたポイントと言っても過言ではないでしょう。


2. 上記の2作品は恐らく名前を聞いた事がない人はいないほどのヒット作でファンも多い事は間違いないのですが、漫画を全巻読んだ、読んでいる人は一部だけ。

それもNARUTO全巻読んだことあるよ。って言うと、結構な漫画好きに分類されちゃうんですよね。ここから普段漫画を読まない層は72巻も漫画を読まない、買わないことが分かります。
アニメに関しては全720話もあるのでこちらも1話から視聴は高いハードルを感じちゃいますよね。

NARUTOも2004年から毎年1本、計11本の映画作品を上映しておりますが、そもそもそんなたくさん映画出してたの!?って思いませんでした?
これも普段からアニメを観る層、さらにはNARUTOファンに集客やマーケティングが集中した結果です。
だからと言ってNARUTOのパターンが失敗などと批判しているわけではなく11年間も映画を制作しているのだからきちんと収益化はできていたと思われます。
むしろこの本数の映画を生み出しているのだからNARUTOも間違いなく大ヒットコンテンツです。

ですが、NARUTO映画11本の合計興行収入は147.1億円です。
数字だけで見ると1本で300億円超えの鬼滅の刃の圧勝のように感じます。
恐らくこれが一般層の力と言っても過言ではないでしょう。ファンだけを対象に制作上映した劇場版NARUTOとは明確な差が生まれています。

鬼滅の刃の映画上映にあたって、一般層向けのマーケティングが可能だった点は大きいでしょう。

ではなぜ一般層向けのマーケティングが可能だったのか。
それは既にアニメと漫画が社会現象を起こすほどに人気だったからです。
私はこれまで映画の興行収入にばかり触れてきましたが、そもそも鬼滅の刃の流行(一般層に認知され出したの)ってアニメから始まっています。

わかりやすく説明すると、

アニメが話題になる→漫画が爆発的に売れる→アニメの続きを映画で上映。興行収入が歴代記録に

鬼滅の刃は上記の流れを辿っています。

鬼滅の刃のアニメは現在2クール分、26話まで放送されています。漫画でいうと7巻分くらいまで放送されました。

ここにも一般層に受けたポイントがいくつかありますね。 

・アニメ26話という話数が比較的にハードルが低かった
・2クールに区切ったことによって作品のクオリティがとても高かった
・話の途中でアニメが終了するので先が気になる人が漫画を購入した

そもそも鬼滅の刃って実は毎週土曜日の23時30分に放映されていたんです。
これ、明らかに一般層に向けて制作してないですよね?
原作ファン、アニメファン向けに制作されていることが分かります。ましてや内容の残虐性から子どもは対象外だったでしょう。

それなのに子どもを含めた一般層にめっちゃヒットしちゃった。
それが鬼滅の刃のアニメなのです。目の肥えたアニメファンに受け入れられるため、深夜のアニメ放送枠(激戦区です)の中で人々の記憶に残るためには、作画と音楽に関しては妥協できない点だったと思います。そのクオリティの高さがアニメファン、一般層に受け入れられた理由であると考えられます。

一般層のおかげで大ヒットコンテンツになったとはいえ、影の立役者は存在します。
それがアニメファン。
アニメのクオリティの高さから一般層に勧める人が多くいたのでしょう。そしてそれをたくさんの一般層の方が受け入れ、さらに一般層の方々の中で広がっていく構図ができたわけです。

長くアニメファンを続けていると、一般層の方にアニメ(漫画も含む)を勧める難しさって痛感します。
そもそも一般向けの内容なのか、勧めたところで受け入れられるのか考えながら布教活動を行うのです。
一般受けしない作品であれば人に勧めることすらしない。そんなアニメファンの方は多いと思います。

その点、鬼滅の刃のアニメは話もわかりやすく、アニメの作画クオリティも高い。重ねて天下のジャンプ連載作品。
布教しやすいアニメだった事は明白です。

あとはコロナ禍という特殊な環境化だった点や、サブスクの普及によりアニメを手頃に視聴できるようになったなど色々な要因が重なっているとは思いますが、その辺は機会があれば深掘りしていきたいと思います。

そして覚えておいて欲しいのは、鬼滅の刃が一般層に受けた理由。
それが話のわかりやすさと手頃さによって普及しやすかった点(作品自体のクオリティはもちろんのこと)、このクチコミの効果って馬鹿にならないという点です

SNSが普及した現在において、人と人との繋がりによる宣伝効果は馬鹿にできません。むしろ利用しないと時代に置いていかれると言っても過言ではないと思います。
今後、マーケティングの重要ポイントはSNSやインフルエンサーを活用したスタイルへ着実に移行していくでしょう。

今じわじわと人気が上昇してきている呪術廻戦もちらほらSNSでその単語を見かけることが多くなりました。
次期鬼滅作品との声も上がるほどのこちらの作品が、どう伸びていくのか。
気になった方は是非観察して みてください。


以上が個人的偏見を含めたずみの鬼滅ヒットの理由でした!
まだ読んでいない人は是非。


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