死別の苦しみ
調子が悪い原因がなんとなくわかってきた
もうすぐ夫の2度のセカンドバースデー、
そして命日がくるからだ
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「セカンドバースデー」
生まれ変わりを意味する移植日
当日はドラマのように
手術室の前で待つこともなく
私はその年も、前の年も
普通に職場に行った
急性白血病の移植は
輸血するような形で静かに行われる
そして移植後は
生死を彷徨う戦いを強いられる
2度の移植を乗り越えて
それでも「家族と生きたい」と最期まで
頑張ってくれた夫の想いを感じると
今でも胸が痛く苦しい…
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私達家族は、移植に向けて
10月頃から覚悟を強いられるように
なっていった
「あのう、12月の予定なんですけど…」
仕事の関係でそう言われて
「…そうか…私にも12月が来るのか」
と思った
12月には移植…
前の年も移植は12月だった
緊迫した毎日の中、
「自分も夫と一緒に消えてしまう」と
ぼんやり感じていたことに
その時はじめて気がついた
もうすぐ1年
私の人生は続いている
なんとなく実感のない
エピローグの中にいるような気分
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夫が病気になってから
買い物している夫婦や家族連れをみるたび
「その幸せ、大事にしろよな!
当たり前なんかじゃないぜ!」
と勝手におせっかいをやく。心の中で。
我が家の一番のおせっかいは
今はもういない
「俺の選択を尊重してくれてありがとう」
1つひとつの分岐点、
認めてきて、それで本当によかったのか…
最期の最期でやっと
私は夫に寄り添えたのだろうか…
きっと一生わからない