環境基本計画 〜2024年夏 UIB@インドネシア・バタム島〜
前々回、前回のものをまとめてみると日本では都市によって環境政策に大きな違いがなく国のものとの整合性もあります。一方で、イングランドでは都市間でも地域性があります。国とのものと少し異なります。
京阪神の政令指定都市の間では大阪市では生物多様性が基本施策(重点分野)としては出ていません。「快適な都市環境の確保」の中の一つになっています。大阪市は京都市や神戸市に比べると住宅や工場などへの土地利用が多いからです。京都市や神戸市は農地や山林として土地利用も多いため生物多様性が基本施策となっている点で少し異なります。また、国の策定した環境基本計画とはほぼ同じです。脱炭素などの気候変動、循環型社会、生物多様性が大きなキーワードになってくることがわかります。一方で、イギリスの場合は、地方分権が日本より進んでいるので、ロンドンでも自分たちが進めたい政策を反映した環境政策になっています。例えば、第1章ではロンドンの現状分析、第2章は今後の進むべく方向を示しています。その上で、新しいアプローチとして、サーキュラーエコノミーやデジタル化などについて言及しています。また、その後も続く大気、脱炭素、グリーンインフラなどにふれています。
法体系としても日本とイギリスのものでもかなり違いがあります。環境分野では、大まかに脱炭素、生物多様性、廃棄物の3つの分野に分けられる。しかし、何よりの違いは地方分権の度合いが日本とイギリスでは異なっていることにより、地方公共団体の環境政策が影響を及ぼしていることがわかります。日本では国が決めた政策に基本的に沿ったものが地域の環境政策であり、イギリスでは自治体の独自性を持つ環境政策となっている。
これがどのような意味を持つのか考えると、特に予算配分と連動する。文献調査から考えられることとして、イギリスの地方公共団体は政策を進めるために予算配分を行う権限が日本のものより大きい自由度が高い。また交付金ではなく直接税収が自治体に入ってくることにつながっていると考えられる。一方、日本では政府が決定した補助金や助成金の執行機関の役割を持つのが市町村になります。イギリスの方が優れているように見えるものの、政策立案者が必要になってくると思います。従来と異なる人材育成が必要になるため、そのままイギリスの制度を適用することができないとは考えます。
バタムではロンドンまで調べたことまでを発表しました。UIBの先生や学生100人ほどの前(壇上に立って)に30分ほど説明しました。質問も二つほど受けました。一つは失念しましたが、防災のことについて質問を受けました。なぜ、防災か?ということはまた次の機会に。
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