海外の建設プロジェクトについて
今回は、円借款やアジア開発銀行などの二国間や地域の開発銀行による融資(ソフトローン)から資金によるプロジェクトについて書きます。これまでProMACなどいくつかこのテーマで発表してきました。特に、今回は調達契約について、書きます。いわゆる一般的に海外で行われている大型の建設や土木案件に相当します。一般的には海外での大規模プロジェクトでは、案件の調査から建設までの流れは、下の図のようになります。
この図から分かることは入札を2回実施します。入札を2回する意味は、最初の入札でコンサルタントの調達を行います。契約したコンサルタントは、入札図書を作ったり、施工管理も行います。コンサルタントが選定された後入札図書が作られて、施主が了承します。その後コントラクターの入札が行われます。コントラクターが決まれば契約が交わされ工事が開始されます。案件の開始からかなりの時間を要します。なお、例外的にはデザインビルドというものがあります。これは設計施工を一括でしますが、私の知っている範囲ではあまり多くありません。
日本のインフラ関連の公共事業ではコンサルタントが入ることはあまりないですが、三者契約の形態を取っているのは海外の大型案件では一般的です。三者になっているのは契約の片務性を極力排除するためです。すなわち、契約上の甲と乙の関係をより対等にするためです。コンサルタントがはいることはいわば審判を入れるようなことと考えています。
契約書はFIDICの契約約款を使用することが多いです。レッドブック、イエローブックなどがあります。世界的にはこの約款が一般的に使われいますが、入札などの際にも非常に重要なものになります。
余談なのですが。。。
調達といえばPMBOKなどでも調達マネジメントが書かれており、まずスコープを決めて、RFP(プロポーザル提出の依頼)を行いと書かれています。授業の中ではこの流れを説明しても理解してもらうことは難しいと推察します。そこで説明する際には、学生にカバンや靴を今から買いに行くことを例えにしています。学生がカバンを買いに行く前はどのようなカバンを買うのかイメージしているはずです。何もなくても自分が欲しいなと思うものがぼんやりでもイメージがありお店で商品を見て値段や品質をチェックして、別の店で同じような商品を見て値段など比較しているのは調達のプロセスですと言う説明をしています。
参考文献
1)大津宏康, 尾ノ井芳樹, 大西有三, 高橋徹(2002) ODA建設プロジェクトにおけるリスク分析とその対応に関する一考察, 土木学会誌, 56 (714), 153-162.