神戸市と福岡市の比較(廃棄物分野)(2)
前回の記事から資料を探すと神戸市のリサイクル率は21.9%になることが神戸市一般廃棄物処理基本計画(年次レポート(2023年度版))に記載がありました。
今回の話として実際のごみ収集の状況ですが、次のようになります。
2つの都市のごみ収集は、ふたつの市のHPから取りまとめると表1になります。
表1 神戸市と福岡市のごみ収集比較(家庭ごみ)
福岡市は、夜間のごみ収集を行っています。戸建て住宅の場合は、戸口回収です。それに対して、神戸市のごみ収集は多くの自治体で行われているように住民は、地区毎の集積場に指定された朝に持っていきます。ごみ袋は、2つの市は共通に指定された袋に入れてごみ出しします。神戸市指定のごみ袋は単純指定、福岡市は優良指定となっています。ごみ袋には、ごみ処理費用が上乗せされているのでごみ袋の値段は神戸市のものより高くなっています。
これらの違いから福岡市の場合は、夜間の戸口収集はコストとして高くなります。一方でごみ袋の値段が高いことからごみの排出量を抑える心理が働き、世帯当たりのごみの排出量は減ることが考えられます。一方で神戸市はごみ収集のコストを抑えることができます。同じ人口規模にも関わらず、リサイクル率で差異が生じる理由として、神戸市と福岡市の面積の違いや予算の違いを挙げることができます。神戸市の面積は557.02km2、福岡市の面積は343.39km2になります。また、2022年度の神戸市と福岡市の環境局の予算は231.2億円、308.9億円となり福岡市の予算の方が大きい結果になりました。(ごみ処理は環境局の予算に含まれています。)住民サービスは二つの都市では大きく違っています。
福岡市が有料指定袋を採用しているのですが、福岡市のごみの排出量は神戸市と排出量があまり差がありません。逆に、家庭ごみは、神戸市の方が少し低めになっています。リデュース を促進させる有料指定袋の有効性があることが幾つの自治体で聞かれますが、ここはなぜこの結果が得られたのかが更なる疑問になります。
前回と今回、授業のために2つの都市のごみ処理の比較したことを書きました。しかし、新たな問いかけがありました。
参考文献
1)環境省「統計表一覧[環境省廃棄物処理技術情報]」
2)神戸市環境局(2024)「一般廃棄物処理基本計画年次レポート(2023年度版)」
3)神戸市環境局(2023)「予算特別委員会資料令和6年度 予算説明書」
4)福岡市環境局(2024)「令和5年度ふくおかの環境(環境に関する年次報告書)
5)福岡市環境局(2023)「令和6年度当初予算案等説明資料」
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