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月と太陽は恋してるSideA瑛紗とアルノ
私は黒猫
もう哀れな捨て猫なんて呼ばせない
身体がいたい。
携帯電話が震えている。
アラームのバイブが震えていた。
毎朝、同じ時間に起きる私えらい!
ゆっくりと体を起こし、
カーテンから漏れる太陽光を見つめた途端、
くしゃみが出た。
少し寒いな。それはそうよな。裸だもん。
やばっ。着ないで寝ちゃったよ
視線をベッド横に移すと、
そこには同じく裸で少し寒そうに布団にくるまって、寝息を立てているアルノがいる。
昨日は、私から誘ってみたが、結局はアルノに好き勝手されちゃったんだ。
気持ちよかったからいいんだけどね。
私はアルノから逃れられないなぁ。
まだ寝ぼけてる脳みそを少しづつ回転させていたら、アルノは寝返り、寝顔が私の方へ向いた。
私のなかにいるもう一人の人格が、ささやく。
「チャンスじゃない?」
私は本能の赴くまま、そっと布団を剥ぎ、アルノの全てを見つめる。
やっぱりアルノの身体は最高にエロく、
美しい。
私の好みだぁ。
私はベットの傍に置いていたカバンからスケッチブックを取り出し、描き出した。
1枚、ヌードを描いたあと、ふと、思いついた。
思いついたら即、行動しなきゃ。
私はウキウキとアルノに近づき、軽く、口づけした。そのまま首筋まで舌でなぞり、首もとに吸い付く。唇を離すと紅く色づく痕が艶かしい。
ふむ。満足。
満足した私はさっそくスケッチブックに今のアルノを描く。
描き終わった後、私はアルノを起こすべく、
近づき、口づけした。
今度は強引に舌を入れて、アルノの舌を絡ませて激しく舌に吸い付く。
アルノから妖艶な声が漏れだし、私はさらに夢中になって舌を絡め、口内を犯す。
「んんむッ!?」
突然、私の腕を力強くつかみ、馬乗りになっていた私は仰向けに組み倒されていた。
私は目を開け、今度は馬乗りになったアルノの顔をみる。
猫目が光った状態でいらっしゃる。
獲物を前に舌なめずりをする獣のように私を見下ろし、そして、私の唇にくいつき、ただ己の欲望を満たすだけのキスと行為が始まった。
はい、調子のりました。
私がリードできるわけありませんでした。
でも、結果オーライ~!
私は激しい攻めに屈服し、されるがまま、アルノとひとつになった。
「何すんのよぉぉ~」
行為が終わり、湯船のなかで開口一番、向かいに一緒に浸かっていた私に残念かつ雑魚ボイスで叫ぶアルノ。
おい、待て。
「アルノもゴリノリノリやないか」
私はたまらず、つっこむ。
突っ込まれたアルノは雑魚ボイスで呻いているが、その顔をみると、猫目は落ち着いており、獣も満足して寝ているのだろう。
「あの時も、マジ獣だったねぇ」
「んぇ、あぁ、なに思い出してんの」
真っ赤になりながら照れているアルノを見て、私はキスをした。
さらに真っ赤になりながらお湯のなかに沈むアルノ。
なんて可愛い生き物なんだろう。
身体はエロいくせに。
「私の初めて奪ったのアルノなんだから」
私はアルノに微笑み、あの夜のことを思い出していた。
私は涙しながら何度も転けようと無我夢中で家路を走る。
自粛中なため、マスコミ対策として、安全に住める様、事務所が用意してくれた一室。
302号室。
その部屋の前で仁王立ちになって待っていた瑛紗。
無言で近づいて私の頬に手を置く瑛紗。
「心配した」
一言つぶやき、息を吐き出す瑛紗。
瑛紗の温もりを感じた私はもう抑えきれず、
瑛紗を抱き締め、唇を貪った。
驚き、私を叩く瑛紗。
私はお構い無しに、舌をねじ込み、瑛紗の耳を塞ぐ。
そうすることで吐息や唾液の音が頭の中に反響し、音でも瑛紗を支配した。
私を叩く手は徐々に大人しくなり、私を抱き締め受け入れる瑛紗。
何分立っただろうか。お互い、息を吸うため、離れる。
お互いに見つめあい、私は気まずく無言で鍵を開け、ドアを開く。
瑛紗は無言で部屋に入り、私も続く。
ドアに鍵をかけ、振り向くと瑛紗はおらず、
寝室から声が聞こえる。
私は寝室に向かいに、扉を開けた。
床には瑛紗の服と下着が置いてあり、ベットの中に入り、布団で身体を隠してはいるが、首もと、鎖骨がみえ、私は息を飲む。
「「綺麗」」
お互いを見て、綺麗と呟く私と瑛紗。
「アルノの猫目、綺麗だね。もっと見せて」
瑛紗は私の手を引っ張り、私は瑛紗に覆い被さる状態となった。
「ねぇ、アルノ。私は大丈夫。好きにしていいよ」
耳元で囁き、耳を甘噛みする瑛紗。
私はいっそう猫目になり、獣の本能を全開に布団を剥ぎ取り、瑛紗を抱き締め、瑛紗の身体を堪能した。
「ふふ、どんなアルノでも私は受け入れるよ」
お風呂でもう一度お互いの身体を堪能した私たちは
お腹の音に悩まされていた。
「睡眠欲、性欲を満たしたなら後は食欲だぁ」
「アニメ声でなんてことを発言するんだ」
「主にあんたのことやないか」
「……すみません」
「半月後、復帰するんだよね」
お店を探す道中、私はアルノに確認する。
「うん。姫奈と一緒にね」
「スタ誕楽しみにしとくよ」
私たちの冠番組でアルノはソロを披露する。
私はそれが楽しみ。
普段のどんくさキャラ、
感情を表に出さない私と似ているアルノ
猫目全開の獣なアルノも好きだけど、
一番好きなのは歌っているアルノ。
アルノ専用スケッチブックコレクションに追加せねば。
あ、今日描いた二枚の絵は秘密なのだよ、君たち。
「歩きながら自分の世界にこもんなや」
アルノに声をかけられ、現実に戻る瑛紗。
「ん、肉食べにあの店にいこう」
「え、私お金ない」
「大丈夫。とっておきのネタがあるのだよ。アルノ氏」
戸惑うアルノをよそに、私は微笑みながらアルノの手を繋ぎ、歩き出した。