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待ち人来る

今でこそスマートフォンが普及して
snsだなんだと、人によっては
それが腐れ縁にも良縁にもなり
疎遠になりにくい時代となりました。

私が学生の頃にはそう言った便利な
ツールもなく、連絡手段はもっぱら
固定電話で、友人の自宅にかけたら
その家の親父が電話に出て気まずい
思いをしたものですが、同じような
経験をされた方も少なくは無いはず

私は学生の頃に転学したことがあります
夏休み中に急に決まり、始業式だけは
元の学校で出席したのですが
色々な感情が交錯してしまい、ろくに
挨拶もせずに友人達から逃げるように
学校を後にしました。

あれから数十年、そんな級友とおぼしき
その人がSNS上で私と繋がりました
向こうは気がついてない様子で
私も名乗ることはしておりません。

あの時ちゃんと別れをしなかった
非礼を詫びようかとも思いましたが
私はもう過去の人間、空白の数十年を
どう過ごしたかお互い知りません。
すっかり私を忘れていてもおかしくない程の
年月が経ってしまいました。

今更どの面下げてとか、ひょっとして
その人にとっては思い出したくない
過去を思い起こさせる事になるかもとか
あの始業式の日のように気持ちが錯綜し
私だけがスッキリとする結果になったら
申し訳ないような気もします。

私を私と知らずして偶然繋がったのに
無粋な事はしないでおきましょう
今までの私は今生の別も死別も同様に
捉えて生きてきました、しかしながら
この様な偶然もあるものなのですね。

忘れられている事よりも、私だけが
友人と思っていたら一番悲しい
良い思い出のまま胸に沈めよう
君が再び現れた事を嬉しく思う
いつか名乗り出る事があったら
その時は私を臆病者と笑って欲しい

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