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クラス7【モチベーション】好奇心の解放

序論

チームのモチベーションを上げるためには、好奇心の解放が重要です。しかし、ここで二つの疑問が浮かび上がります。

  1. 好奇心は意図的に持たせることができるのか?

  2. 好奇心は年齢を重ねた後でも強くなるのか?

本論では、好奇心の正体について考察し、これらの問いに答えていきたいと思います。


本論

【好奇心の定義】

進化心理学によれば、好奇心は生存や繁殖に適応するために進化した本能的な特性です。人間は未知の環境に対して自然に興味を持ち、それを探索することで有用な情報を集め、生存に有利な行動を選択してきました。つまり、生まれながら全員が持っている特性です。


【好奇心が薄れる原因】

それにも関わらず、大人になると好奇心が薄れていくことがあります。その主な原因は以下の通りです。

  1. 安定志向と効率の重視
    大人になると、生活や仕事において安定や効率が重視されます。これにより、新しいことに挑戦するコストが高く感じられるようになり、未知への挑戦を避ける傾向が出てきます。進化的には、不確実な状況では好奇心を抑制し、既知のリスクが少ない選択を取ることが適応的だった可能性があります。

  2. 神経可塑性の低下
    若い頃は脳の神経可塑性(新しい情報や経験に対して適応する能力)が高く、好奇心が旺盛です。しかし、年齢とともに神経可塑性が低下し、新しいことへの挑戦意欲や学習能力が減少するため、既存の知識や経験に頼る傾向が強まります。

  3. ルーチン化された生活
    繰り返しの多い仕事や生活が定着すると、新しい刺激や学びが少なくなり、好奇心が減少します。脳が「学ぶべき新しいものがない」と判断すると、好奇心が自然に薄れてしまうのです。


【好奇心が薄い人に好奇心を持たせることは可能か】

例えば、店長AはマネージャーBを「思いつきで現場をかき乱す人」と認識し、マネージャーBは店長Aを「保守的で新しいことをやりたがらない」と考えています。このような状況で、店長Aは好奇心を失っているのでしょうか?

一見すると、店長Aは好奇心を失っているように見えるかもしれません。しかし、以下の理由から、必ずしもそうではないと考えられます。

  1. 別の関心領域がある可能性
    店長Aは、マネージャーBの提案とは異なる分野に強い興味や関心を持っている可能性があります。例えば、接客や店舗運営の効率化など、店長自身が重要と感じる領域に集中しているかもしれません。

  2. 心理的安全性の欠如
    マネージャーとのコミュニケーションにおいて、店長Aが自分の意見を自由に表現できていない可能性があります。提案が「思いつきで現場をかき乱す」と感じている背景には、提案内容や進め方に対する不安や懸念があるかもしれません。

  3. 過去の経験からの抵抗感
    過去に新しい取り組みがうまくいかなかった経験があり、それが新しい提案に対する抵抗感となっている可能性も考えられます。


【好奇心を開放するために必要なこと】

好奇心を解放するためには、以下の3つの要素が重要です。

1.心理的安全性の確保
メンバーが自由に意見を表明し、質問や提案ができる環境を整えることが大切です。失敗を学習の機会として捉え、責めない文化を醸成することで、メンバーは安心して新しいことに挑戦できるようになります。

2.興味関心の分野の特定と責任の委譲
各メンバーの強みや興味を把握し、その分野で主体的に取り組めるよう責任ある役割を与えることが重要です。これにより、個人の強みが発揮され、全体の成果にもつながります。

3.目標と方針の共有し、やり方を任せきる
組織やチームのビジョンや目標を明確に伝え、メンバーが自分の役割と全体目標との関連性を理解できるようにします。
具体的なやり方はメンバーの裁量に任せる一方で、定期的に進捗状況を確認し、必要なサポートを提供することが大切です。これにより、丸投げにならず、適切な指導が行われます。


結論

好奇心は本能であり、全員が持っています。そのため、好奇心を強くするというよりは、外的要因を排除することによって好奇心を解放することが適切な表現です。好奇心が解放されれば、個人のモチベーションは自ら走り出し、チームのパフォーマンス向上にも寄与するでしょう。