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temppの短編小説一覧(一話完結)

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短編、というか1話読切の一覧です。 だいたい1万字以下です。
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#灯火物語杯

短編小説のまとめ(主に自分用)

そろそろ何をUPしたのかわからなくなってきたので、自分のための管理用ページです。スルーください。一覧性のための文字ベースのリンクです(まさに自分用)。 ここでの短編小説とは、一話完結の話を指します。シリーズ中で一話完結する話もこのリストに含まれると同時に、シリーズのまとめがあればそちらにも記載されます。 ()内はあれば場所(神白県については行政区分別、pem世界においては領域魔女名)、ジャンル、シリーズがあればシリーズを記載。 イラストは短編にごくたまに出てくる奏汰さん。うち

【短編小説(純文学)】クリスマスキャロルの聞こえそうな夜 6000字

[HL:クリスマスイブの日、数年前に死んだはずの高見から呼び出された] 灯火物語杯に参加させていただきます~。順番的には食レポの会の連載日ですが、土日なのでスキップします。  竹佐允彦はみぞれ雪が降る中、傘もささずに雑踏を足早に歩いていた。その肩口に一瞬積もる雪はすぐに溶け、允彦が払う前にその豪奢なコートに冷たい染みを生んでいた。そして姿が消えても允彦の体に冷たさを退席させる。  允彦の口から洩れる舌打ちは、白い煙になって背後に流れて消え去る。  目を落とした細い金縁の

【短編小説(ホラー)】クネヒト・ループレヒト 9000字

[HL:クリスマスは毎年親戚で雪山のコテージに集まって祝う。けれども今年は] 灯火様はじめまして。灯火物語杯に参加させていただきます。 イブのコテージ  冷たく深々と降り積もる雪と真っ暗な闇。それが窓ガラスの奥に広がっている。  けれどその窓枠はキラキラとしたベルや白い綿、モミの緑色の葉で飾られ、このログハウスの内側は暖炉の明るい光でオレンジ色に輝いていた。音に乗せて真っ黒い炭をチリチリと白く染めながら、煌煌と赤い炎を生み出し続けている。BGMはさっきからずっとクリスマス

【短編小説(サスペンス?)】犯人がこの中にいるかどうかはどうでもいい 6000字

[HL:迷探偵が現れれば死体ができるという機序] 灯火物語杯に参加いたしますー。よろしくお願いします。 「犯人はこの中にいるッ!」  花見沢璃央は勢いよくそう告げて狭い室内を見回した。といっても私の他にいるのは一組の夫婦だけで、彼らはゴクリと喉をならす。私も慌てて左右を見回し、こんな胡散臭い行動をしたんじゃ逆に犯人と思われないかといつも気が気じゃなくなる。  ここは高天山脈にある小さなコテージ集落、いわゆる別荘地で、現在は大雪と倒木で外界と閉ざされ、既に何人もの人間が殺され