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temppの短編小説一覧(一話完結)

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短編、というか1話読切の一覧です。 だいたい1万字以下です。
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#コメディ小説

短編小説のまとめ(主に自分用)

そろそろ何をUPしたのかわからなくなってきたので、自分のための管理用ページです。スルーください。一覧性のための文字ベースのリンクです(まさに自分用)。 ここでの短編小説とは、一話完結の話を指します。シリーズ中で一話完結する話もこのリストに含まれると同時に、シリーズのまとめがあればそちらにも記載されます。 ()内はあれば場所(神白県については行政区分別、pem世界においては領域魔女名)、ジャンル、シリーズがあればシリーズを記載。 イラストは短編にごくたまに出てくる奏汰さん。うち

【短編小説(青春コメディ)】街角春のパン祭り競争 3500字

[HL:春、若木の緑萌ゆるの街角で、俺はバタールを咥えた女とぶつかった]  曲がり角でズドンとぶつかった女は俺を高みから見下ろしていた。  そのふんぞり返った姿は逆光を浴びて影に沈んで黒く、まさに魔王のように威風堂々、しかもなんだか長いベロのようなものをだらりと垂らしていた。一瞬俺はその異様に怯んだものの、気を取り直し、文句でもいってやろうと立ち上がる。なにせ普通に歩いていた俺に脇道から猛スピードで走ってきてぶつかったのはこの女のほうなのだ。 「はなはなんはってひふの!」

【短編小説(ハイファコメディ)】ある鯉のひとりごと 2000字

[HL:気がついたら鯉だった。何を言ってるかわからない。]  なあ聞いて?  転生したら鯉だったん。何を言っているのかわからないかもしれんけど、俺も意味がわからない。  ともあれ気がついた時は卵のなかで、殻をぽちぽち食い破ってさあ大海原だと思ったら、やたら広いビクの中だった。よく考えたら鯉は淡水魚だから大海原はないよな。  そんなわけで転生して生まれ直した瞬間絶望した。  とはいえ日常は過ぎゆく。遥か天空から降り注がれるペレット的なものに近寄ってぱくーぱくーと呑気に食べる

【短編小説(コメディ)】『雷と追跡』領域の魔法研究 3000字

 吾輩はワールド・トラベル出版社、略してWT社の第5分室に所属するミゲーレ・ナザリアスである。ライフワークとして世界の理についての調査研究を行っている。第5分室における吾輩の担当コーナーは『おもしろドッキリ★世界の魔法珍百景』という誠に残念なタイトルを冠されている。実に嘆かわしい。  しかし領域独自の魔法の発動についての研究及びその実地でのフィールドワークこそが吾輩にとって必要なものであるからして、これに対して資金提供を頂いている奇特なWT社には一定の感謝とともに、『珍百景』

【短編小説(伝奇コメディ)】謎の石 明治幻想綺譚 10000字

ハロウィンなのでノベプラのいたずらコンでHARDもらったやつです。 [HL:石の中には馬か、魚か、或いは?] 「よぉう山菱! 今日もパッとしねぇ顔してんな」 「なんだ冷泉か。暗いとこからいきなり出てくりゃビビるんだよ、人ってもんは」 「ハッハ相変わらず図体似合わず肝が小せぇ」  心臓が止まるかと思ったのに、いきなり指をさしてゲラゲラと笑われた。  時刻といえば丑三つ時。  明治16年の秋の夜長は妙に冷え、地面に沿って這ってきた冷たい風が、袷の裾から吹き上がる頃合い。その上