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temppの短編小説一覧(一話完結)

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短編、というか1話読切の一覧です。 だいたい1万字以下です。
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#ライト文芸

短編小説のまとめ(主に自分用)

そろそろ何をUPしたのかわからなくなってきたので、自分のための管理用ページです。スルーください。一覧性のための文字ベースのリンクです(まさに自分用)。 ここでの短編小説とは、一話完結の話を指します。シリーズ中で一話完結する話もこのリストに含まれると同時に、シリーズのまとめがあればそちらにも記載されます。 ()内はあれば場所(神白県については行政区分別、pem世界においては領域魔女名)、ジャンル、シリーズがあればシリーズを記載。 イラストは短編にごくたまに出てくる奏汰さん。うち

【短編小説(ライト文芸)】文鳥とモモンガ。 8000字

[HL:糞ッ。モモンガの見分けがつかん。一体どれなんだ!] 第1話 文鳥に餌をやる。  越前梅宇は不愉快だった。  その眉間には深く皺が刻まれ、大柄な体から伸びるゴツゴツした右手指で摘む小さなスポイトはぷるぷると揺れ、そしてそれは容赦なく文鳥の雛の口に突っ込まれた。 「キュウ」  少量をその喉奥に流し込んで引き抜き、梅宇の左掌をふしふしと踏んで姿勢を正す小さな生き物をケージに戻す。 「……何で俺が」  もう何回目だかよくわからなくなった無意識の呟きがこぼれた。  眉間に更

【短編小説(ライト文芸)】カフェ・アイリス メロンソーダなアラモード 4500字

[HL:喫茶店でメロンソーダですと! でもまぁ、たいていメニューにはあるな?]  樫の木の少し重いドアをキィと開ければ、今日もカフェ・アイリスには芳醇な香りが漂っていた。  このチョコレートっぽい香りはエチオピアの……多分ハラー?  そう思って『本日の珈琲』を見るとカファだった。  惜しい。  でも私がコーヒーを飲むようになったのは、この神津北公園通りにひっそりと佇むカフェ・アイリスに通うようになってからだ。だからまあ、そんなに日は経ってないし、全然有り。それで早速『本日

【短編小説(ライト文芸)】カフェ・アイリス 珠玉のラテアート 4000字

[HL:少しレトロな喫茶店。芳しきコーヒーを淹れる初老のマスターに萌え死ぬ]  神津北公園通りの喫茶店アイリス。その入り口にある樫の木一枚板のドアの少し大きめのノブに手をかければ、ギィという重い音のあとにスルリと扉は開いた。  その途端、芳しいコーヒーの香りが溢れ出す。  いつものアイリスに加わった『本日の珈琲』の香り、今日は……カネフォラ種。コンゴのミノヴァとかかな。飲み口はソフトなのに、あとから特有の香ばしさが鼻に抜ける。  このアイリスに通うようになって随分コーヒー豆