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temppの短編小説一覧(一話完結)

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短編、というか1話読切の一覧です。 だいたい1万字以下です。
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#ファンタジー小説

短編小説のまとめ(主に自分用)

そろそろ何をUPしたのかわからなくなってきたので、自分のための管理用ページです。スルーください。一覧性のための文字ベースのリンクです(まさに自分用)。 ここでの短編小説とは、一話完結の話を指します。シリーズ中で一話完結する話もこのリストに含まれると同時に、シリーズのまとめがあればそちらにも記載されます。 ()内はあれば場所(神白県については行政区分別、pem世界においては領域魔女名)、ジャンル、シリーズがあればシリーズを記載。 イラストは短編にごくたまに出てくる奏汰さん。うち

【短編小説(ハイファ)】バッファロー・スタンピート 6500字

[HL:牛が来るぞぉぉぉ] 「スタンピートだぁ!!!!」  訪れたばかりのバクラバの街の、さらに足を踏み入れたばかりの冒険者ギルドに大声が響き渡った。それを追いかけるように歓声や悲鳴が上げる。 「なあなあドルチェ、スタンピートだってさ!」 「喜ぶな、馬鹿」  祭り事のようにはしゃぐ声を上げたのは戦士のタリアテッレだ。ドルチェとタリアテッレは幼馴染で、少し頭の足りない戦士のタリアテッレが冒険者になるんだと村を飛び出したのを召喚士のドルチェが追いかけてからもう数年、諸国漫遊よろ

【短編小説(ファンタジー)】鍋は鳥にかぎる 2500字

[HL:妻の声に目を覚ませば、美味そうな香りが漂っている。今日は鍋か] 「そろそろ起きてくださいよ、吉弘さん」 「ん……」  布団の中で寝返りを打てば、ぷんといい香りが漂った。どこか懐かしい故郷の香りだ。これはくつくつと長時間鳥骨を煮込んで作る、俺の実家の鶏鍋の香りだな。けれども美知が作ればいつも少し味が違う。それはそれで美味いから、文句など何もない。  でも頭がガンガンと痛い。二日酔いかもしれない。喉がヒリヒリと乾き、頭がギシリと痛む。そんなに飲んだかな。飲んだっけ。記

【短編小説(ローファンタジー)】それはきっと、最後のきらめき 5000字

[HL:ダンジョンがなくなってから、私たちの生活は色褪せた] 「エリヤ、今度のネタは本当だってば! 本当にバグがあるって」  そんな風に熱くなってるタケチを冷静に見下ろした。タケチがこんな風にいうのはもう数え切れないくらい。 「だからお願いします!」  気づけば、土下座のスタイルから無意識に持ち上げられたスマホを思わず蹴飛ばしていた。最近、というかここ三年ほどずっとイライラしている。つまり世界が平和になってから。 「壊れる!」 「オフ撮るなっていつも言ってんじゃん!」  

【短編小説(ファンタジー落語)】寿命とは 3300字

[HL:寿命を延ばす薬って戦士に必要なんですか?] 「おいドルチェ。面白いもん買ってきたぞ」 「あ? また無駄遣いかよ」 「無駄遣いってひでぇな。今回は大丈夫。これは絶対効果あるって。なにせこの街の町長さんも買ったっていう話だから」  目の前の図体の大きな男は幼馴染でタリアテッレという。普段俺はこのタリアテッレとパーティを組んで冒険者ギルドの仕事をしたり、ダンジョンの浅層を潜ったりしている。それなりの腕の戦士だ。戦闘の時はそりゃぁ頼りになる。でも普段は脳みそが昼寝してるから