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temppの短編小説一覧(一話完結)

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短編、というか1話読切の一覧です。 だいたい1万字以下です。
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#現代ファンタジー

短編小説のまとめ(主に自分用)

そろそろ何をUPしたのかわからなくなってきたので、自分のための管理用ページです。スルーください。一覧性のための文字ベースのリンクです(まさに自分用)。 ここでの短編小説とは、一話完結の話を指します。シリーズ中で一話完結する話もこのリストに含まれると同時に、シリーズのまとめがあればそちらにも記載されます。 ()内はあれば場所(神白県については行政区分別、pem世界においては領域魔女名)、ジャンル、シリーズがあればシリーズを記載。 イラストは短編にごくたまに出てくる奏汰さん。うち

【短編小説(現ファ)】やっぱり幽霊は面倒くさい 4500字

[HL:智樹の前に現れたのは、どんくさい幽霊] 「あの、道をお尋ねしたいのですが」 「……」  公理智樹は幽霊が見える。だからその呼びかけをずっとシカトしていた。けれども『見える』ことは敵にも既にバレてた。幽霊が見える人間は少ない。だから幽霊は一旦幽霊を見える人間を見つけると、執拗につきまとう。それが智樹の経験則だった。  はぁ、と溜息をつき、諦めて振り返る。  燦々と照り注ぐ太陽の浮かぶ青い空。キラキラとその光を反射する紺の海。その間に、その半透明な幽霊は所在なく浮かんで

【短編小説(現ファ)】なんでもある本屋 3000字

[HL:ふらりとたちよったその本屋、芦屋書店。そこにはどんな本でもあるという]  その本屋に寄ったのは偶然だった。たまたま時間が空いていたのだ。  大学の1コマ分の講義の隙間で、さりとて家に一旦帰るほどでもなく、だから散歩がてら大学周りをふらついていた。  その本屋は昔ながらの小さな個人書店で、今どきは経営は難しいのだろうなという印象を抱くような店だった。書店の奥に店員と思われる青年が腰をかけ、本を読んでいる。そして立ち入った店内に驚く。整然とした本の並びは美しく、好感が持

【短編小説(現ファ)】幽霊は面倒くさい 10000字

[HL:振り返ったら、見知らぬ幽霊] 1万字なので栞代わりに簡単な目次を付けました。 第1話 呼ばれて振り返るんじゃなかった 「智樹、俺、幽霊になったみたいなんだ」 「そうだね」  公理智樹は幽霊が見える。  子供の頃からだ。だから大抵の古くからの友人は、智樹が見えるタチだということを知っている。  智樹は今、振り返ったことを少しだけ後悔していた。そこは智樹がよく通る路上でがやがやと騒がしく、名前を呼ばれて知り合いかと思って振り返ったら、そいつはぽやぽやと輪郭も乏しい半透

【短編小説(民俗系すこしふしぎ)】パンダに追いかけられる 8000字

 俺は昔からわけのわからない事件に巻き込まれるいわゆる『巻き込まれ体質』という奴だ。だからいつもお守りを携帯している。腐れ縁の凄腕ぽんこつ陰陽師にもらったやつだから、案外効果はある。  それはともかく今回の話もそうだった。  実にわけのわからない顛末だ。  始まりはある寒い冬の夜。  数日前から俺の後ろをとぼとぼとついてくる者がいた。といっても危険だとか怖い存在ではない、と思う、多分。殺気のようなものは欠片もなく、寧ろ悪戯をしているような空気感を感じていた。  けれど最初にそ