初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『マゼラン級宇宙戦艦』
●開発経緯
U.C.0058年、サイド3が独立を宣言し、“ジオン共和国”を名乗りました。各サイドで独立の機運が高まる中、地球連邦軍は第二のジオン共和国を生み出さないため、宇宙軍を設立し、強大な軍事力を背景に圧力をかけます。
本級は宇宙軍の編成を行った“60年代軍備増強計画”によって、“サラミス級宇宙巡洋艦”と共に開発され、ジオン共和国側がこれに対抗して、軍拡を行ったことから、“70年代軍備増強計画”で就役し、大量に建造されることになります。
サラミス級宇宙巡洋艦について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
●最強の宇宙戦艦
本級はサラミス級と同様、“ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉”を搭載した大型宇宙艦艇で、主砲には“メガ粒子砲”、推進機関には“熱核ロケットエンジン”が用いられています。
主に佐官、将官クラスが指揮官として座乗し、艦隊の旗艦として運用されました。そのため、レーダー、通信機器が充実しており、サラミス級よりも砲撃戦に特化した性能になっています。
武装としては、主砲の2連装メガ粒子砲が計7基、艦首にはミサイルランチャーが多数装備されており、当時としては破格の火力を有しています。データリンクによる長距離精密砲撃、レーダーによるミサイルの長距離誘導が可能で、接近される前に殲滅するのが基本というのは、サラミス級と同様です。
万が一、接近を許したとしても、各所に計14基装備された2連装機銃によって、迎撃を行います。
サラミス級よりも大型ですが、熱核ロケットエンジンを4基搭載したことで、機動性に問題はなく、無補給で各サイドを横断できる航続距離も有しています。
サラミス級同様、大気圏突入能力は持ちませんが、艦底に接続された大気圏突入カプセルにより、地上に降りることができます。これは緊急脱出用としても使用されます。
ジオン公国軍のチベ級戦艦(当時)では相手にならず、後に建造されたグワジン級大型戦艦ですら一方的に沈めることができる本級は、最強の宇宙戦艦として、恐れられることになりました。
●大艦巨砲主義の象徴
そんな本級でしたが、一年戦争が勃発すると、ほとんど役に立ちませんでした。ミノフスキー粒子散布による有視界戦やMSを使用した新しい戦術にまったく対応することができず、“一週間戦争”や“ルウム戦役”で一方的に沈められてしまいました。
勿論、連邦軍はミノフスキー粒子やMSの存在を認知していましたが、公国軍が自軍への影響も大きいミノフスキー粒子を散布するなど考えておらず、MSもレーダーで探知し、接近する前に容易に撃墜できると確信していたのです。
戦前は最強の宇宙戦艦と恐れられていた本級は、次第に大艦巨砲主義の象徴として、揶揄される存在となってしまいます。
●スペック
全高:80.2m
全長:265m
全幅:67.1m
全備重量:22,000t
推進機関:熱核ロケットエンジン4基
主な同型艦:アナンケ、フェーベ、タイタン、レナウン、ルザルほか多数
主な座乗者:レビル、ティアンム、ワッケインほか連邦軍士官
●基本武装
○2連装メガ粒子砲
本級の主砲で計7基が装備されています。一年戦争当時の艦艇の中でも随一の火力を誇ります。射角が広く、死角が少ないのも特長です。
○ミサイルランチャー
艦首に多数装備されています。ミノフスキー粒子散布下では、長距離誘導ができないため、命中精度は極端に低下してしまいます。
○2連装機銃
艦体に計14基が装備されています。近接防御に使用され、MSでもこの弾幕を掻い潜って接近するのは困難でした。
●艦隊戦では無類の強さを見せる
一年戦争緒戦で多くの宇宙艦艇を失った連邦軍でしたが、U.C.0079年4月に“V作戦”と同時期に発動された“ビンソン計画”によって、サラミス級と共に再び大量に建造されます。
ビンソン計画によって建造された後期型にはMS運用能力が付与されています。艦底をMSのハンガーブロックに改修し、“RGM-79 ジム”を射出、艦橋前部から“RB-79 ボール”が発進できるようになっています。非常に簡易的なものでほとんど“MSを運搬するだけ”の機能しか持ちませんが、時間的な余裕のない連邦軍にとっては最善策でした。実戦ではMSを大量に投入するため、甲板にMSを露天繁止させていました。
主に後期型はジャブロー工廠で建造され、宇宙での反攻作戦が始まると、ブースターを装着して、宇宙に打ち上げられました。
一年戦争末期にはMSの母艦や“ソーラ・システム”のコントロール艦として活躍しただけでなく、艦隊戦ではその強大な火力を発揮して、公国軍の艦艇を多数撃沈させています。
ただ、本級の多くも撃沈されており、被害は少なくありませんでしたが、一年戦争の勝利に貢献したことは間違いありません。緒戦での汚名は返上できたと言えるのではないでしょうか。
●戦後は次第に縮小されていく
戦後しばらくは同型艦の建造が進められましたが、MSが主力兵器となったことや大規模な戦争が起こらず、連邦軍が軍縮を進めたことで、運用コストに問題のある本級の建造は縮小していきます。
しかし、宇宙戦艦の開発自体が終わってしまったわけではなく、様々な新造艦にその影響を与えることになります。