初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『FF-X7-Bst コア・ブースター』
●開発経緯
連邦軍が開発者した試作型MS、所謂“RXシリーズ”にはコックピット・ブロックと脱出装置を兼ねた“コア・ブロック・システム”が採用されました。緊急脱出時には戦闘機形態に変形するのですが、MS用の高出力ジェネレーターや従来機の処理能力を遥かに凌ぐ教育型コンピューターが搭載されたことで、戦闘機としても非常に高い性能を誇りました。
ただ、このFF-X7 コア・ファイターは緊急時の運用が前提であることから、武装や推進剤は最低限のものなっており、その性能を持て余していました。
しかし、慢性的な戦力不足にあったホワイトベース隊はコア・ファイターをひとつの戦力として運用し、戦果を挙げたことから、その評価が高まることになります。
コア・ファイターの開発を行った老舗の航空機メーカーであるハービック社は主力機がMSへと移り変わろうとする中、強化ユニットを装着することで、MSにも対抗できる戦闘機へと昇華させるプランを打ち出しました。こうして完成したのが本機“FF-X7-Bst コア・ブースター”です。
本機の開発はRX-78-2 ガンダムの強化ユニット“Gパーツ”の運用形態のひとつであるGスカイおよびGスカイ・イージーから着想を得たと言われています。
●大幅な火力強化
コア・ファイターの問題点のひとつが火力の低さでしたが、MS用のジェネレーターを利用することで、メガ粒子砲を運用することができました。威力はGパーツのメガ粒子砲には及びませんが、ガンダムのビーム・ライフルと同等だと言われており、対MS戦でも十分な威力を有しています。
さらにミサイルランチャーやウェポン・ベイも搭載されており、ウェポン・ベイには多弾頭弾や対潜爆弾など状況に応じたものを使い分けることができます。
また、コア・ファイターのバルカン砲も使用できますが、主翼を折り畳んで接続する関係で、小型ミサイルは使用することができません。
このように当時のMSに対抗するには十分な火力強化が施されています。
●航続距離の延長
もうひとつの問題点が積載燃料が少なく、航続距離が短いことでしたが、ブースター・ユニット内にスペースを確保したことで、これをクリアしています。
推進エンジンには熱核ロケットエンジンと熱核ジェットエンジンのハイブリッドタイプが採用され、大気圏内外での運用が可能となっています。
●緊急脱出も可能
ブースター・ユニット部が被弾した際は、これを切り離すことが可能で、コア・ファイター本来の緊急脱出装置としての役割も果たすことができます。
●高コストから少数の生産に留まる
高水準のマルチロールファイターとして生まれ変わった本機でしたが、MSの汎用性には敵わず、時代の流れに抗うことができなかったことやブースター・ユニット自体は安価に抑えることはできましたが、コア・ファイターを用いることが前提のため、トータルでは高コストとなってしまったことが仇となり、16機の生産に留まっています。
ただ、実戦投入された6機は多大な戦果を挙げたとされ、その高性能を十分に発揮することができたと言えるでしょう。
●スペック
全高:6.75m(ランディングギア含む)
全長:13.8m
全幅:12.6m
全備重量:18.3t
装甲材質:ユニバーサル・ジュラルミン、ハイパーチタニウム、エアロ・セラミックIIIほか
最高速度:マッハ5.38
主な搭乗者:セイラ・マス、スレッガー・ロウほか地球連邦軍パイロット
●基本武装
○2連装30mmバルカン
機首に左右1基ずつ装備されています。近接戦闘で使用されます。
○メガ粒子砲
ブースター・ユニット前面に左右1基ずつ装備されています。ガンダムのビーム・ライフルと同等の威力を有しており、MSを一撃で沈めることができます。
○ミサイルランチャー
ブースターユニットの両脇に1基ずつ内蔵されています。
○ウェポン・ベイ
ブースター・ユニット下部に設置されており、多弾頭弾や対潜爆弾を投下します。
●派生機が開発されるが
一年戦争当時、航空戦力は対空攻撃に乏しいMSに対して有用だったこともあり、ハービック社は重力圏内に限定した派生機の開発に乗り出し、生き残りを図りましたが、主力兵器がMSに完全に移行してしまったことに加え、戦後の軍縮が重なったことで、戦闘機の発注が激減してしまいます。
これにより、大きな負債を抱えてしまったハービック社はアナハイム・エレクトロニクス社に吸収合併されることになりますが、同社の航空機開発技術はその後も様々な機体に受け継がれることになります。