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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『Gパーツ』

●開発経緯

 地球連邦軍はジオン公国軍のMSに対抗するため、V作戦を発動し、試作実験機としてRXシリーズを開発しました。特にRX-78-2 ガンダムはMS-06 ザクIIの性能を凌駕しており、実戦投入された機体は大きな戦果を挙げました。

 しかし、公国軍のMS同様、特に地上での戦地への展開力の低さが問題視されていたことから、ガンダムのサポートメカとしてGパーツ(Gメカ)が開発されることになります。

 Gパーツとは、“G-Practical Advanced Research for Tactical System”の略で、ガンダムを中核とする戦術システムの実用的先端研究を意味すると言われています。

 一方、別名のGメカは“G-Multiple Expansion of CHangeable Armaments”の略で、ガンダム用多目的拡張可変武装群を意味します。

●各パーツの特徴

 GパーツはAパーツ(Armament Parts)とBパーツ(Booster Parts)によって構成されています。

 Aパーツは操縦系や兵装がメインとなっています。

 コックピットはコア・ファイターとほぼ同規格ですが、教育型コンピューターは搭載されていません。また、キャノピーは被弾直前に装甲が施されたシャッターで覆われるようになっています。

 兵装としては、2連装メガ粒子砲と2門の機首ミサイルランチャーを備え、MSに匹敵する火力を有しています。

 推進器は空中換装で使用するためのサブスラスターが搭載されているのみで、重力圏内で単独飛行を行うことはできません。

 陸上での戦車的な運用も考慮されており、無限軌道が備わっています。基本的にはAパーツに装着されますが、Bパーツに装着することも可能です。宇宙や空中ではデッドウェイト化してしまいますが、ブームモジュールが搭載されおり、ドッキング時のエネルギー経路組み替えガイドや機体の保持に使用される不可欠なユニットとなっています。

 一方、Bパーツは推進器がメインとなっています。

 重力圏内外で運用できるように熱核ジェットエンジンと熱核ロケットエンジンのハイブリッド方式が採用され、ガンダムとドッキングした状態でも超音速で飛行できるように4基のメインスラスターは強大な推力を備えています。

 また、側部の推進エンジンとプロペラントタンクが一体化した補助推進ユニットは回転可能となっており、前後どちら向きでも機能します。

 さらに下部の前後に4連装ミサイルランチャーも装備されており、前後方向へ向けての攻撃を行うことができます。

●ガンダムと合わせて多様な運用が可能

 Gパーツはガンダムと合わせて、ひとつのシステムとして設定されており、GパーツのAパーツ、BパーツとガンダムのAパーツ(上半身)、Bパーツ(下半身)およびコア・ブロックの組み合わせによって、多様な戦術や状況に対応することができます。

 実戦テストのために配備されたホワイトベース隊によって、想定された全てのパターンが運用され、そのデータから様々なバリエーション機が誕生することになります。

●運用パターン

○Gファイター

主な搭乗者:セイラ・マス、スレッガー・ロウ

 GパーツのAパーツとBパーツで構成される重戦闘爆撃機形態です。Gパーツ単独で運用することができる最もオーソドックスな形態と言えます。

 特に重力圏内ではメガ粒子砲の長射程を活かし、対空攻撃能力の乏しいMS相手に空中からほぼ一方的に攻撃を仕掛けることができます。

 さらに上空支援だけでなく、サブ・フライト・システム(SFS)として運用することもできます。この際、垂直尾翼が乗降の妨げにならないように補助推進ユニットを後方に回転させます。ただ、バランスに問題があったのか、実際は回転させずにガンダムを乗せていました。

 また、低速飛行時はサブスラスターを用いた垂直離着陸および短距離離着陸が可能で、離着陸の際に内部に収納されていた無限軌道を展開します。そして、この無限軌道を用いて、陸上で戦車のように運用することも可能となっています。

○Gアーマー

主な搭乗者:セイラ・マス、スレッガー・ロウ(Gパーツ)、アムロ・レイ(コア・ブロック)

 仰向けにしたガンダムをGパーツで挟み込むようにドッキングしたガンダムの長距離輸送を主眼に置いた重爆撃機形態です。この形態ではガンダムの腕部に干渉しないように補助推進ユニットは後方に回転させます。

 基本的にGパーツ側が操縦および砲撃を担当し、コア・ブロック側がオペレーターを担当しますが、コア・ブロック側からガンダムおよびGパーツの火器を操作することもできます。

 ドッキング時のメガ粒子砲はガンダムのジェネレーターを併用することができるため、高出力化し、連射性が向上するなど、大幅に強化されます。

 分離(ボルトアウトと呼びます)はコンピューターによって自動で行うことができ、約15秒で完了します。重力圏内で時速600km以下の速度でこの操作を行うと、失速してしまい上手くいかないという問題があります。

 また、この形態はガンダムの両腕および腹部が剥き出しとなってしまうため、両腕にシールドを装備することで防御性能を向上させています。しかし、ボルトアウトの際、右腕のシールドを放棄することになるという問題を抱えていました。これに関しては、ガンダムのパイロットであるアムロ・レイのジョイントを使用して、シールドを2枚重ねにしてはどうかという提言が採用され、解決されることになります。

○Gスカイ

主な搭乗者:アムロ・レイ

 GパーツのBパーツとガンダムのBパーツおよびコア・ブロックで構成された長距離戦闘爆撃機形態です。

 GアーマーおよびGファイターよりも軽量であるため、高速かつ長時間の運用が可能でしたが、火力はそれほど高くはありません。

 後述するGブル・イージーと組み合わせることで、全てのパーツを使用することができるため、本形態で偵察を行った後、ドッキングするという運用がなされましたが、コア・ファイターが上下逆さまの状態で接続されているため、一度分離して再接続する必要があります。

○Gスカイ・イージー

主な搭乗者:ハヤト・コバヤシ

 GスカイからガンダムのBパーツを除いた形態です。

 Gスカイ同様、火力は高くありませんが、最も軽量で機動性に優れた形態です。ガンタンクあるいはガンキャノンのコア・ブロックを使用すれば、ガンダムと同時に運用することができ、SFSとしても機能します。

 GスカイおよびGスカイ・イージーのコア・ブロックにGパーツを接続して、コア・ファイター自体を強化してしまうというアイデアは“FF-X7-Bst コア・ブースター”の開発に繋がりました。

○Gブル

主な搭乗者:アムロ・レイ(コア・ブロック)、セイラ・マス(Gパーツ)

 GパーツのAパーツとガンダムのAパーツおよびコア・ブロックで構成された陸戦用重戦車形態です。

 コア・ブロックが接続されている方が正面になっており、操縦および火気管制はコア・ブロック側で行うのが基本ですが、Gパーツ側から操作することもできます。この形態ではメガ粒子砲の砲身を180度回転させて、向きを変更します。

 Gパーツとコア・ブロックのジェネレーターを併用することで、メガ粒子砲の出力と連射性を向上させることができ、攻撃力は並のMSを凌駕します。

 機動性もそれなりに高く、サブスラスターを使用して、ある程度のジャンプも可能なことから戦車としては非常に強力ではありますが、運用できる地形は制限されます。宇宙での運用も可能ではありますが、機動性や運動性は著しく低下します。

 Gスカイからコア・ブロックを除いたパーツを射出し、Gブルとドッキングするという運用もなされました。

○Gブル・イージー

主な搭乗者:セイラ・マス

 Gブルからコア・ブロックを除いた形態です。

 Gパーツのコックピットで全ての操作を行うため、Gブルとは逆にGパーツの機首側が正面になり、メガ粒子砲も機首側に向けます。

 目立った特長はありませんが、Gスカイと組み合わせることで、全てのパーツが使用できるため、出撃の機会は少なくありませんでした。

○ガンダムMAモード

主な搭乗者:アムロ・レイ

 ガンダムにGパーツのBパーツを装着した高速戦闘に特化した形態です。Gアーマーとは逆にガンダムをうつ伏せにして接続します。

 これは開発時に想定された形態ではなく、アムロの考案により、試験的に実戦投入されたものであるため、正式な名称はなく、後にガンダムMAモードやガンダム・スカイなどと呼ばれることになります。

 空間戦闘における高い機動力を発揮しましたが、AMBACシステムが十分に機能せず、運動性が大幅に低下するというデメリットから一度切りの使用に終わりました。

●基本武装

○2連装メガ粒子砲
 Aパーツ上部に装備されたメインウェポンで、その威力はガンダムのビーム・ライフルを上回ります。Gアーマー形態ではガンダムのジェネレーターを併用できるため、出力や連射性が向上します。

○機首ミサイルランチャー
 Aパーツの機首部に2門内装されています。空対空および対地、対潜にも使用できます。

○4連装ミサイルランチャー
 Bパーツの下部の前後に1基ずつ内装されています。GスカイおよびGスカイ・イージー形態でのメインウェポンとなります。

SFSとしても運用することができます。

●運用データから様々な兵器が誕生

 Gパーツの運用データは評価され、様々なバリエーション機が開発されただけでなく、後のMS強化ユニットや分離可変機構の開発に繋がっていくことになります。

 ホワイトベース隊にはGパーツではなく、コア・ブースターが配備されたという説(劇場版)もありますが、Gパーツの存在自体は否定されておらず、後の兵器開発に大きな影響を与えたというのは事実でしょう。

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