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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『MSM-04N アッグガイ』

●開発経緯

 ジオン公国軍は連邦軍総司令部ジャブローを叩くことで抗戦能力を奪い、降伏へ導くという戦略を立てました。しかし、厚い岩盤で覆われた地底に建設されたジャブローは戦略核の直撃にも耐えられると言われています。そのため、当初はコロニー落としによって、ジャブロー陥落を目論みましたが、これに失敗したことで、直接ジャブローへ侵攻する必要が生じてしまいました。

 ジャブローは南米アマゾン川流域にあり、通常のMSでの侵攻は困難で、正確な所在地すら特定できていません。そのため、ジャブロー攻略のためだけの“特務用MS”の開発を進めました。

 本機はそのMS群“アッグシリーズ”のひとつで、水陸両用かつステルス性に優れたMSM-04 アッガイが作戦に適任だとして、ベース機となっています。

●ヒート・ロッドを用いた格闘戦用MS

 本機はEMS-05 アッグが掘削した侵入路からジャブローに突入し、MSM-04G ジュアッグの援護を受けながら格闘戦を行うというのが主任務です。

 兵装は頭部に設置された2門のバルカン砲と両腕に装備された2本のヒート・ロッドのみで、ミサイルやメガ粒子砲は装備されていません。本機のヒート・ロッドは基部から回転できるようになっており、MS-07B グフのものよりも使い方の幅が広がっています。

 同じ特務用MSのMSM-08 ゾゴックと役割が重複しますが、MSM-08が距離を詰めた近接格闘戦を行うのに対し、本機は長いリーチを活かした格闘戦を行います。

●高い運動性と重装甲を誇る

 本機はMSM-04 アッガイの開発過程で生まれた試作機の中でも最終案直前まで残っていたものをベースに開発されたため、基本構造にほとんど変わりがなく、外観も非常に似通ったものとなっています。

 MSM-04同様、ステルス性に優れており、隠密行動に適しているだけでなく、格闘戦を主任務とするため、運動性や装甲も強化されています。

●珍しい複眼カメラ搭載

 本機の大きな特徴として挙げられるのがモノアイに替わる巨大な複眼カメラです。

 これにより、広い視界が確保できたり、多くの光を取り込むことができるため、洞窟内での活動に適しているだけでなく、高速で動く目標物を的確に捕捉することができます。

 ただ、その代償としてセンサー類の集中する頭部が肥大化しています。

●水陸両用ではなく湿地戦用MS

 他のMSM-04シリーズと同様、防水機構は備わっていますが、水中航行能力は低く、水中で使用できる兵装もありません。あくまで水中移動が可能なMSという位置付けであり、湿地帯や沼沢地での運用、つまりジャブロー攻略に適した機体というわけです。

●格闘戦仕様

 両腕に装備されたヒート・ロッドをMSM-07 ズゴックのアイアン・ネイルに換装した格闘戦仕様と呼ばれる機体も存在しました。ただ、メガ粒子砲はオミットされているようです。

 水中でも使用できたり、簡易マニピュレーターとして機能したりと、メリットはありましたが、本機の特徴は損なわれることになりました。それだけヒート・ロッドの扱いには技術が必要だったのかもしれません。

“MSM-04N アッグガイ”

●スペック

頭頂高:19.0m
本体重量:113.7t
全備重量:171.6t
ジェネレーター出力:2,010kW
スラスター総推力:109,000kg
最高速度:50kt
装甲材質:超硬スチール合金

●基本武装

○ヒート・ロッド
 両腕部に2本ずつ装備されています。伸縮性の高い電磁鞭で、ルナ・チタニウム合金製の装甲を切断できるほどの威力を誇ります。敵機の武装を絡め取ったり、機体に巻き付けて電流を流すことで、機体だけでなくパイロットにもダメージを与えることもできます。その反面、使いこなすには相応の技術が求められます。

○頭部バルカン砲
 頭部に2門内蔵されています。主に格闘戦に持ち込むための牽制に使用されます。格闘戦特化で射撃兵装に乏しいとは言っても、ザク・マシンガン2丁分に相当する火力は有していることになります。

4本のヒート・ロッドで格闘戦を行います。

●民間人が保有するレプリカの存在

 シャア・アズナブル率いるマッド・アングラー隊がジャブローの出入口を発見したことから、ジャブロー攻略作戦が前倒しされることになり、本機の作戦投入は間に合いませんでした。そして、本機の一年戦争における実戦参加記録がなかったことから、ペーパープランに終わったのではないかとも言われていました。

 しかし、第一次ネオ・ジオン抗争の際、民間人が保有する本機のレプリカの存在が確認されていることから、一定数の機体が生産され、実戦投入されていた可能性があるのではないかと言われています。

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