初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『EMS-05 アッグ』
●開発経緯
ジオン公国軍は連邦軍総司令部ジャブローを叩くことで抗戦能力を奪い、降伏へ導くという戦略を立てました。しかし、厚い岩盤で覆われた地底に建設されたジャブローは戦略核の直撃にも耐えられると言われています。そのため、当初はコロニー落としによって、ジャブロー陥落を目論みましたが、これに失敗したことで、直接ジャブローへ侵攻する必要が生じてしまいました。
ジャブローは南米アマゾン川流域にあり、通常のMSでの侵攻は困難で、正確な所在地すら特定できていません。そのため、ジャブロー攻略のためだけの“特務用MS”の開発を進めました。本機はそのMS群“アッグシリーズ”のひとつです。
●用途は侵入路の確保に限定
ジャブローのおおよその位置は特定できていましたが、その出入口はジャングルでカモフラージュされていたり、水面下に設置されていたりと特定することが困難でした。
本機の役割はジャブローへの侵入路を確保することにあります。具体的にはジャブローへ繋がるトンネルを掘って、他の特務用MSを内部に送り込むということになります。
●その実態は大型土木工作機
本機は掘削作業を行うための装備しか搭載されておらず、基本的には非武装です。
脚部もほとんど可動しないことから歩行脚としては機能せず、1基あたり3個のファンと2個のパワーサプライからなるホバークラフトユニット2基で走行します。
また、他の特務用MSと異なり、潜水能力もないため、地上あるいは水上を走行することになります。
その運用上の問題からMS(特殊工務用MS)に分類されていますが、その実態は大型土木工作機でしかありませんでした。
●スペック
頭頂高:15.6m
本体重量:69.4t
●基本装備
○大型ドリル
両前腕部に装備されています。MSに穴を空けられるほどのパワーを有しているとされています。
○レーザー・トーチ
機体前面に装備されたクチバシのような部分です。レーザーにより、強固な岩盤を溶解します。
○カッター
モノアイ横、左右に1基ずつ装備されています。上部の岩盤の掘削に使用されると思われます。
●バリエーション機も開発されるが実戦記録は残っていない
シャア・アズナブル率いるマッド・アングラー隊がジャブローへの侵入路を発見したため、本機がジャブロー攻略戦に投入されることはありませんでした。
本来の目的を失ってしまった本機は4連装ミサイル・ランチャーを機体上部と片腕ないし両腕(大型ドリルと換装)に装備した武装型への改修やバリエーション機の開発も進められましたが、現在のところ実戦に投入されたという記録は残っていません。
戦後、連邦軍に接収された機体も解体されてしまい、遂に日の目を見ることは叶いませんでした。