第18回初心者のための機動戦士ガンダム解説『ランバ・ラル隊との決着』
ホワイトベース隊がユーラシア大陸を横断し、ジャブローを目指そうとしている間に地球連邦軍は地上における大規模反攻作戦となる“オデッサ作戦”の準備を着々と進めていました。対するジオン公国軍も新型MSの開発や実戦配備を進めていました。
●スパイの暗躍
オデッサ基地の司令官であるマ・クベ大佐は連邦軍の不審な動きを見過ごしていたわけではありませんでした。
10月27日、闇夜のフェンリル隊にホワイトベースの偵察を命じ、翌日には予め潜入させていたスパイを通じて、オデッサ作戦の開始日時まで入手しています。
ここまで情報が筒抜けだと、作戦はほぼ失敗に終わると言っても過言ではありません。
●シャア・アズナブルの復帰
10月30日、マッド・アングラー級潜水母艦を旗艦とした“マッド・アングラー隊”が結成されます。
主な任務は大西洋の哨戒ですが、同時に諜報活動も行っており、一般的な潜水艦隊よりもフレキシブルに動くことができる特殊部隊です。
司令官は軍に復帰したシャア・アズナブル大佐が就任しています。彼は元々、宇宙攻撃軍に所属していましたが、復帰後は突撃機動軍所属となっています。
●ランバ・ラル隊との戦い
11月2日、中央アジアを横断中のホワイトベース隊はレビル将軍の伝令と落ち合いました。そこで5日後のオデッサ作戦に加わるように伝えられます。
ホワイトベース隊は集結地点へ向かう前にこれまでの航行で不足していた塩を補給するため、近くにあるロブレイクという鹹湖に立ち寄ることにしました。
しかし、自身の縄張りに侵入したホワイトベースとそれを追うランバ・ラル隊を排除したいマ・クベが同隊にホワイトベースの進路を伝えたため、急襲を受けます。
鉱山採掘基地で得た資源の一部をキシリア派で独占している事実をドズル派であるランバ・ラルに知られることを嫌い、戦わせようとしたわけです。ランバ・ラルが勝てばさっさと宇宙に帰ってくれるし、負けてもそれはそれで良かったのです。
ホワイトベース隊のセイラ・マスはシャアこそが生き別れた兄であると確信し、その情報を得たいがためにガンダムに搭乗して無断出撃してしまいます。しかし、ガンダムを上手く扱うことができず、ピンチに陥ります。
ガンキャノンに搭乗したアムロが救援に駆けつけ、キャノン砲でアコースのザクIIを撃破し、コズン・グラハムのザクIIをククルス・ドアンに教わった格闘戦で中破させ、ランバ・ラル隊を撤退させています。この時、コズンを捕虜とし、そのザクIIを鹵獲しています。
●アムロの失策
同日の夜、ホワイトベースは偶然通りかかった公国軍の採掘基地から攻撃を受けます。
アムロは基地の攻略にはガンタンクの方が向いていることと鹵獲したザクIIのデータを分析した結果、ガンタンクでもザクIIに十分対応できると判断し、ガンダムで出撃せよという命令を無視して、ハヤトと共にガンタンクで出撃します。
しかし、身体検査が不十分だったことからコズンに脱走され、ランバ・ラルに情報を送られてしまったため、ランバ・ラル隊からも攻撃を受けることになってしまいます。
ランバ・ラル隊の練度は高く、アムロのシミュレーションよりも動きが良かったため、一転してピンチに陥ります。リュウのコア・ファイターとカイのガンキャノンの援護を受けて、ガンダムに換装し、なんとか撃退に成功しましたが、ブライトはアムロの慢心に苛立っていました。
●アムロ脱走
11月3日、アムロはブライトがミライに自身をガンダムから降ろそうかと思うと相談しているところを目撃します。これに腹を立てたアムロはガンダムに乗って、ホワイトベースを脱走してしまいました。
脱走したアムロはタシケントにある公国軍の第102採掘基地を発見します。そして、ここがオデッサ作戦の目標だと勘違いして、独断で攻撃を開始しました。
この時、偶然にもキシリア少将とマ・クベ大佐が基地の視察に訪れており、2人の乗る試作型モビルアーマー“MAX-03 アッザム”と交戦することになります。
アッザムはガンダムによって中破され、離脱しますが、この時、キシリアの指示でまだ兵士が残っているにも関わらず、機密保持のために基地は爆破されています。そして、キシリアが連邦軍のMSの性能を目の当たりにしたことにより、公国軍の新型MSの配備が急速に進むことになります。
●砂漠の激闘
戦闘後、アムロがソドンの町の飲食施設で休息を取っていると、そこにランバ・ラル隊もやってきます。そして、アムロを呼び戻すため、付近を捜索していたフラウ・ボゥがランバ・ラル隊に捕まってしまいます。
2人は見逃してもらいますが、フラウが後を付けられ、ホワイトベースは攻撃を受けることになります。アムロはこれに気付き、ホワイトベースに戻ります。
アムロが戻ったことで、ホワイトベース隊は窮地を脱し、遂にグフの撃破に成功しています。ただ、パイロットは取り逃がしてしまいます。
●待ち伏せ作戦開始
同日、第08MS小隊は公国軍の射爆場を発見します。ビームの痕跡からアプサラスの実験が行われていると推測し、待ち伏せ作戦を敢行することにしました。しかし、待てど暮らせど、アプサラスは現れませんでした。
●ランバ・ラルの最期
11月5日、ホワイトベースはカスピ海西岸に到着、オデッサ作戦発動まで待機命令が下りました。そんな中、ハヤト、カイ、マクシリミアン、ハワドの4人がアムロばかり贔屓していることを理由に一時ホワイトベースを降りるという事件が起こっています。
一方、ランバ・ラル隊はドズルから3機のMS-09 ドムを受け取るはずでしたが、物資の補給がオデッサ経由で行われていたことが災いし、マ・クベによって着服されてしまいます。
これは資源の一部をキシリア派で独占し、派閥間抗争を有利に進めようと画策していることがドズル派のラルに知られたのではないかと懸念していたことが理由だと言われています。ラルは補給を受けられなくても、命を賭けて作戦を完遂しようとする人間であるから、そこで華々しく散ってもらおうという算段です。
マ・クベの予想通り、ラルは少ない戦力でホワイトベースに白兵戦を仕掛けます。ホワイトベースへの突入に成功し、第2ブリッジを制圧したものの、ラルは父が仕えていたジオン・ズム・ダイクンの娘であるセイラことアルテイシア・ソム・ダイクンに遭遇したことで動揺してしまい、その隙を突かれて重傷を負ってしまいます。
その後、第2ブリッジがガンダムによって破壊され、部隊は壊滅、ひとり残ったラルは自決します。さらにラルの最期の命令でホワイトベースに攻撃を仕掛けたギャロップもガンダムのビーム・ジャベリンで撃破されましたが、ハモンらは脱出しています。
●大きな代償
同日、ハモンとタチ中尉は残存戦力を全て投入し、ホワイトベースに一点集中攻撃を仕掛け、足止めしている隙に爆弾を積んだカーゴをぶつけるという作戦を立案します。決死隊とも言える作戦でしたが、これに反対する者はいませんでした。
ホワイトベースの方も連戦による消耗が大きく、ガンタンクは故障で動けず、ガンダムもガンキャノンも万全の状態ではありませんでした。ザクやサムソン・トップに対応している隙にカーゴの突撃を許しましたが、寸前のところで相手の作戦を見抜いたアムロがカーゴを受け止めます。しかし、背後からハモンの乗ったマゼラ・トップがガンダムを至近距離から狙い撃ち、もうダメかと思った、その時でした。コア・ファイターがマゼラ・トップに体当たりし、窮地を救ったのです。アムロはカーゴの片側のエンジンを破壊し、コントロールを失い、ホワイトベースから離れていったところをビーム・ライフルによって破壊しています。
遂にランバ・ラル隊を全滅することに成功したホワイトベース隊でしたが、大きな代償を払うことになります。特攻したコア・ファイターに乗っていたのは前の白兵戦で重症を負い、ベッドで休養していたはずのリュウ・ホセイだったのです。ホワイトベース隊の精神的支柱とも言えるリュウの戦死は大きな悲しみと衝撃をもたらしました。