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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『MSM-07 ズゴック』

●開発経緯

 ジオン公国軍は地球侵攻に際して、地球の表面積の約7割が海洋で占められていることから海洋戦力が必要だと考え、水陸両用MSの開発を進めました。

 本機の開発を担当することになったMIP社は主にMAの開発を行っており、MSの開発実績はありませんでした。そのため、水陸両用MSとして初めて制式採用されたツィマット社の“MSM-03 ゴッグ”と同時期に開発はスタートしましたが、完成は大幅に遅延してしまいました。当初、与えられる予定だったMSM-04という型式番号は先にロールアウトしたアッガイに譲り、新たにMSM-07という型式番号が与えられます。

●水陸両用MSの決定版

 開発を担当したMIP社はMSの開発実績がなく、主にMAの開発を行っていたこともあり、本機には頭部がなく、胴体と一体化した独特の形状をしています。

 しかし、先に実戦投入されたMSM-03のデータをフィードバックすることで、その問題点の解決を図り、開発に時間がかかってしまった分、水陸両用MSの決定版とも言える完成度を誇ります。

●使い勝手の良いメガ粒子砲

 MSM-03の目玉のひとつがメガ粒子砲の内蔵でした。従来のMSは排熱の問題から高出力のジェネレーターを搭載することができず、メガ粒子砲の運用は困難な状況でした。しかし、MSM-03は水冷式ラジエーターを採用することで、MSとしては初めてメガ粒子砲の運用に成功しました。

 ただ、メガ粒子砲の小型化や収束率の向上が上手くいかず、胴体に内蔵したことで射角が制限されたり、射程距離が短いといった問題が発生し、あまり実用的なものとは言えませんでした。

 MIP社はMAの開発を行っていたため、メガ粒子砲の技術が蓄積されており、それらの問題をクリアしました。小型化により、腕部に内蔵することができ、射角が大幅に改善しただけでなく、収束率を高め、射程距離も延長することができたのです。

●上陸後も見据えた設計

 MSM-03は上陸後もバラストタンク内に取り込んだ海水によって、機体の冷却を行います。その結果、陸上での稼働時間は制限されてしまいました。

 そこで本機のラジエーターは水冷式と空冷式のハイブリッドタイプが採用されることになりました。これにより、上陸後の稼働時間の延長に成功しています。

 また、推進機関もハイドロジェットエンジンとロケットエンジンのハイブリッドタイプとなっており、陸上での機動性も担保されています。

 さらに機体の軽量化が進められ、腕部と脚部に採用されたフレキシブル・ベロウズ・リムは水中航行時の抵抗を軽減するというよりも陸上での攻撃や移動に最適化されたものになっています。

 装甲性能はMSM-03には劣るものの、RX-75の砲撃に耐え得る強度を誇り、水陸両用MSでありながら陸上でもMS-06と同等以上の機動性と運動性を獲得しました。

●各地の潜水部隊で活躍

 本機は潜水部隊の主力機として量産され、各地に配備が進みます。MIP社製ということで、従来型と操縦系統の相違があったり、パーツの互換性が低く、コスト高を招いたという問題は発生しましたが、その性能の高さから上陸作戦での戦果はMS-06に引けを取らなかったと言われています。

“MSM-07 ズゴック”

●スペック

頭頂高:18.4m
本体重量:65.1t
全備重量:96.4t
ジェネレーター出力:2,480kW
スラスター総推力:83,000kg
最高速度:103kt
装甲材質:チタン・セラミック複合材
主な搭乗者:カラハほか公国軍MSパイロット

●基本武装

○アイアン・ネイル
 両腕部に装備された近接格闘用兵装です。RGM-79の装甲を一撃で貫くほどの威力を有しており、簡易マニピュレーターや水中航行時のフィンとしても機能します。

○メガ粒子砲
 アイアン・ネイルの中央部に内蔵されています。腕部に装備されたことで、射角が大幅に改善され、対空攻撃を行うこともできるようになり、MSM-03の弱点のひとつを克服しました。

○240mmロケット弾
 頭頂部に6基装備されています。装弾数は計30発で、水中での発射も可能です。ただ、耐圧深度は低く、基本的に浮上、上陸後の対空攻撃に使用されます。

アイアン・ネイルとメガ粒子砲を
搭載した腕部ユニット

●活躍期間は非常に短い

 本機の性能は高く評価され、発展機の開発も進められましたが、試作機の少数生産に留まっています。オデッサの戦いに敗れ、起死回生のジャブロー攻略作戦に失敗し、主戦場が宇宙へ移行してしまったことや生産を行っていたキャリフォルニア・ベースを奪還されてしまい、海上戦力の維持自体が困難となってしまったことが原因です。

 戦後、連邦軍に接収されましたが、水陸両用MSに高コスト、高性能の機体が求められることはなく、それ以上発展することはありませんでした。残党によって運用されてはいたようで、U.C.0096年のラプラス事変の際に目撃されています。

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