アナタハ「ツネ」ヲシンジマスカ?
新型コロナウイルス陽性判定による波乱の幕開けとなった2021年のガンバ大阪。約2~3週間の活動休止を経て、9試合を消化。
現在1勝4分4敗、得点+2、失点-7、順位は18位である。
一向に調子が上向いてこない。ガンバに今何が起こっているのか?
1.選手コンディション
2.ターンオーバー
3.「攻撃的」の呪縛
1.選手コンディション
活動休止期間明けでコンディションが上がってきていないことが大きな要因の一つなのは間違いない。切り替えの遅さ、瞬間的な集中力の欠如が失点に繋がっている。昨年ケガをした井手口がいまだにパフォーマンスを取り戻せていないことも大きい。
また、ケガ人(と思われる選手)も多い。特にサイドバックに負傷者が続出し、右サイドバックの層の薄さが露呈して名古屋戦・川崎戦と立て続けにここを叩かれたことは痛恨だった。高尾、藤春、小野瀬が負傷またはコンディション不良からベンチ外となっており、さらに福田も川崎戦でベンチ外。
ヨングォンに至っては今期1試合もベンチ入りしていない。彼を最近見たのは韓国代表として出場したあの試合だけである。しかし、ここは昌子の復調によって今のところ問題にはなっていない。
選手コンディションに関してはほとんど言及しないのが宮本監督の特徴であるが、結果が出ていないこともあいまってサポーターが不信感を募らせてしまっている。
2.ターンオーバー
過密日程からか、今年の宮本監督は特にターンオーバーを行っている。東口・三浦・昌子のみがフル出場を続け、彼ら以外は毎試合スタメンの組み合わせが変わる。これによる連携不足も一つの要因ではないかと思う。
また、大阪ダービー後の矢島のコメントもチームの現状を表している。
「誰が出てもチームのやり方をやるのがベストですけど、いまはチームのやり方を模索している感じだと思います」
https://soccermagazine.jp/j1/17450292
チームのやり方が定まっていないのだとしたら、違う選手が代わる代わる出て機能するはずがない。しかし、それを整理するのが監督やコーチの役目なのでは?コーチ陣にその指導力が足りていない?もしくは、選手の理解力が足りていない?
話は少しそれるが、つい先日ツエーゲンの柳下監督がレノファ山口戦後のインタビューで述べた「外で見ている人にはわからない」といった旨の内容を思い出した。
結局、本当のところは外からはわからないのである。監督や選手は言えることしか言わない。
3.「攻撃的」の呪縛
宮本監督は今年の新体制発表時に「もっと攻撃したい」と発言している。これは昨年をはじめとしてここ数シーズンの得点数から来ているものと思われる。
直近5シーズンのガンバの得点数とその順位
2020年 46得点(9位)
2019年 54得点(5位)
2018年 41得点(12位)
2017年 48得点(7位)
2016年 53得点(6位)
ガンバは攻撃的、華麗なパスワーク、そういうイメージを持っている方は少なくないと思う。しかし、ここ数年は得点数も失点数も中位。攻撃的なサッカーを求めているのは多くのサポーターでもあり、クラブのアイデンティティでもある。また、2018シーズン終了後の挨拶で宮本監督が「来年はもっとレベルの高いサッカーをやります」と発言していたことがある。
「攻撃的」×「レベルの高い」を組み合わせようとした結果、選手への落とし込みが追い付いていないのではないか。「攻撃的」という理想が呪縛となって、かえって足かせとなっているのではないか。
監督は理想と妥協を繰り返してシーズンを進めていく。勝つために割り切るシフトを近いうちに行うかもしれない。
最後に
今シーズンのポジティブな点も挙げて本稿は締めくくりたい。
・守備陣の安定
絶対防壁、東口という神は今年も健在である。また、昌子の復調も見逃せない。
・新戦力
すでにチュ・セジョンの打開力にかつてのマスターオブガンバの雰囲気を感じずにはいられない。味方の理解も深まればより脅威となるはず。合流して間もないウェリントン・シウバにも、不調の攻撃陣の起爆剤になればという期待が高まる。
・ブレイクの兆し
2年目となる黒川がここに来て猛烈に存在感を発揮しだした。また、昨シーズン終盤に続いて奥野も存在感を示し始めた。主力の負傷は代替わりを加速させる。ほろ苦いデビューを味わうことになった佐藤は、ここで折れるか・成長してポジションをつかみ取るかのターニングポイント。
さらなるニュースターの登場に期待したい。
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