見出し画像

YouTubeチャンネル紹介②「元奨ほっしーの将棋チャンネル」

 友人がYouTubeで動画配信をしているのを聞いて以来、色々な将棋系動画配信を観ています。
 最近ではプロ棋士も参入したりしているが、アマチュアの動画でも相当に質の高い動画も多々あるので、紹介してみます。


 今回紹介するのは「元奨ほっしーの将棋チャンネル」です。

https://www.youtube.com/channel/UCOppop0zogaNo7pTIY05e5g


 この動画のチャンネル主ほっしー氏は、表題にもある通り、元奨励会員です。
 序盤をソフトで詳細に研究してあり、実戦に頻出する局面を実際に将棋ウォーズ上で再現してくれているので、これから将棋が強くなりたいと思っている級位者や低段位者にはとても参考になると思います。


最新の動画をもとに少し内容を紹介します。

 この動画の0:37の局面

画像1

 0:37の局面は、後手が72銀と上がったところです。
 後手は石田流と三間飛車藤井システムの両方を天秤にかけたような作戦を狙った感じだと思います。

 対して、先手のほっしー氏は、ここから果敢に攻め掛かります。
 その第一歩が、45歩です。

45歩の局面

画像2

 驚く方も多いでしょうが、45歩の一手は立派に成立しています。
 銀も桂も参加していないこんな軽い仕掛けが、通ってしまうのです。
 しかも、45歩を突いた時点で先手有利。
 後手は居玉なので戦場が近く強い戦いが出来ないことと、35歩と突いてしまったことによって44の地点が弱いこと、局面を収めようとしても82の地点に角を打つ隙があることなどが原因で、軽いジャブのような仕掛けがKOパンチになっているのです。

 以下実戦は、42飛 44歩 同銀 24歩 同歩 45歩 55銀 56歩 同銀 33角成 同桂 24飛(攻めが決まった図)と進み、ほっしー氏が快勝しています。

攻めが決まった図

画像3


 もう一つ、同じ動画から紹介します。

5:02の局面

画像4

 今、先手が16歩と突いた局面です。
 この16歩は、37桂と跳ねた時に、35歩の攻め(同歩だと同銀と出られて36歩と46歩を狙われますし、26飛と受けると15角~36歩が決まります。つまり、16歩は何かの時の15角と出る手を消しています)を食らわないために突いています。
 この16歩を、「居飛車の税金」なんて呼んだりします。

 対して、後手のほっしー氏は、この16歩が緩いと看て、積極的に仕掛けていきます。

5:02の局面からの手順
55歩 同歩 同銀(四間飛車から仕掛けた図)

四間飛車から仕掛けた図

画像5

 個人的には、この55歩の仕掛けは若干損だと思います。
 理由は、後手にとって94歩と端歩を突く手がとても大きな一手になるからです。
 居飛車が払った税金の16歩と、四間飛車が玉形を拡げる94歩では、大差で後者が得をしているので、仕掛けずにジッと端歩を突いた方が良いと感じます。

 ですが、そんな僅かな差をものともせず、ほっしー氏はここから局面を有利に導きます。

四間飛車から仕掛けた図以下の手順
24歩 同歩 35歩 46歩 34歩 44角 46歩 35角 33歩成 同桂 34歩 46銀 33歩成 57銀成 同金 49飛成(四間飛車が押し通した図)

四間飛車が押し通した図

画像6

 四間飛車が押し通した図は、後手が桂損の上にと金を作られていますが、35の角が57の金に当たっており、しかも、一方的に後手だけが飛車を成っていますので後手が有利です。

 手順中、24歩から35歩の切り返しは、居飛車の頻出手筋。
 これを知っているか知らないかで勝率が段違いになるほどの有効な手段です。

 対して、後手は46歩と攻め合おうとしますが、ここで34歩と取り込めるのが居飛車側の自慢。
 47歩成と踏み込むのは33歩成と攻め合われて先手が困ります。
 なので、44角はこれしかないところ。
 ここまでは居飛車がこの局面の教科書とも言えるような見事な応接をし、局面をリードしています。

 後手は44角が邪魔で飛車が捌けないので、35角と障害になっている角を退けますが、33歩成 同桂と先手は攻撃の手を休めません。

 ですが……。
 次の34歩が自然に見えて疑問手です(途中図)。
 この一手を境にほっしー氏の鋭い攻めが飛んできます。

途中図

画像7

 途中図から本譜は46銀ですが、ここは45桂もあるところ。
 対する先手の33歩成が連続の疑問手で、形勢が入れ替わります。

 ここで57銀成が飛車取りを放置しても指せると見切った、強く踏み込んだ一手。
 以下、42とと飛車を取るのは67成銀が厳しく、後手が優勢となります。
 なので、仕方なく57金と取りますが、堂々と飛車を成って四間飛車の攻めが押し通りました(四間飛車が押し通した図)。

再掲、四間飛車が押し通した図

画像8

 途中図では、34歩ではなく38飛が有力で(65歩もある)、それなら先手が有利を継続することが出来ました。
 あと、33歩成でも68銀とすればほっしー氏は困っていたと思います。

 ですが……。
 これ、動画を観てもらうと分かるのですが、3分切れ負けなんですよ。
 お互いに短時間で判断し着手を決めなくてはなりません。
 ですから、多少の疑問手は仕方がないんですよ。

 しかも、ほっしー氏は本来居飛車党(笑)。
 いつもなら逆を持って指しているのです。
 つまり、慣れない振り飛車でもこの強さだったりします。
 普段からどれだけ研鑽を積んでいるのかが、動画の端々から匂ってくるようですね。


 ほっしー氏は非常にアマ強豪らしいアマ強豪だと思います。
 もっと強くなりたい……。
 どうも最近、伸び悩んでいる……。
 なんて方がおられましたら、是非、「ほっしーの将棋チャンネル」をチャンネル登録してみたらいかがでしょうか?

いいなと思ったら応援しよう!