意表の仕掛け①(自戦解説)
たまには自分の将棋を振り返ってみたいと思います。
1図
1図は後手が私です。
中飛車模様の出だしだったのですが、コイナギ流右玉を指そうとして早くも失敗したところです(笑)。
一応、書いておくと、コイナギ流右玉と早々に明示するような指し方をすると、先手が中飛車に振ってくれない恐れがあるので63金を保留したのですが、1図で次に68飛や65歩とされると6筋が薄く、作戦負けが確定してしまいます。
そこで……。
1図からの指し手
65歩 同歩 同銀(2図)
2図
予想通り、65歩から仕掛けられました(汗)。
まあ、65同銀では68飛と回られる方がより嫌でしたので、気を取り直して局面を打開することにしました。
このまま大人しく指す訳にはいかない私は、少し無理気味なのは分かった上で次の一手を指します。
2図からの指し手
86歩(3図)
3図
戦いにする手なら、86歩はこれしかないところ。
以下、読み筋は、86同歩 85歩の継歩攻め。
とは言っても、当然、85歩を取ってくれる訳もなく、88飛と回られ、86歩 同角 45歩 78金 55角 77桂(読み筋図)で、少し指しにくいながらもまだまだこれからだと思っていました。
読み筋図
3図からの指し手
86同角 同飛 同歩 66角(4図)
4図
先手の方もいきなり仕掛けられるとは思っていなかったのか、小考の後に86同角と取りました。
多分、継歩を嫌がってのことでしょうが、こちらとしては乱戦になってくれるのは大歓迎なので、喜んで同飛と取ります。
飛車を渡しても、とりあえず隙が無いのが強みでしょうか。
以下、66角まで進み、これなら難しくなったのではないかと思いながら、次の先手の手を待ちました。
後で考えてみた感じでも、多分、66角は最善手。
先手から香取りと57角成を同時に受ける手が無いので、ここではもう良い勝負になっていると思います
4図からの指し手
98飛 57角成(5図)
5図
香取りを受けるのなら98飛はこれより無いところ。
そこで私の方が考えたのは、88歩と45歩と57角成でした。
まず最初に切り捨てたのは、88歩です。
桂取りで厳しそうなのですが、85飛と打たれると81飛成が受からないからです。
もしかすると、85飛以下、89歩成 68飛(すぐに81飛成は、88と 71竜 42玉で、後手の方が玉が堅く先手が指しにくい) 99角成 81飛成 55馬 71飛成 42玉(意外とありかも図)で難しい形勢なのかもしれませんが、対局中は81の桂と71の銀をぽろぽろ取られるのが嫌で、早々に読みを打ち切りました。
意外とありかも図
次に考えたのは45歩でした。
働きの無い22の角を働かせ、66の角と連動して攻める狙いです。
以下は、56銀(55角行と出られては後手の味が良いので、中途半端な位置の銀を使う意味でも56銀はこう指したいところ) 57角成 58飛(悪くはないが図)と進むのが想定局面でした。
悪くはないが図
58飛とされた局面は、58同馬と飛車を取る手はありません。
以下、58同金右に88飛と87飛がありますが、88飛には85飛 82歩(89飛成は、81飛成 77桂 71竜 42玉 48玉 69竜 49桂で、先手の持ち駒の角と後手の22の角の差が大きいので、先手良し) 78角(自信無し図)、87飛にもやはり85飛と打たれ、82歩 79金(飛車が取られそう図)で、何れも後手が自信がありません。
自信無し図
飛車が取られそう図
なので、58飛には66馬と引くくらいですが、68金 99馬 77桂(良くわからなかった図)で、後手が駒得で悪い訳ではないですが、先手もそこそこやれそうに見えたので読みを打ち切りました。
良く分からなかった図
と、色々と考えた末に、結局指したのはシンプルな57角成でした。
45歩を突くのは中途半端な65の銀を働かされそうなので、先に角を成って銀をいじめる意味です。
先手も無条件に66馬を許すと悪くなりますので、57角成には83飛くらいですが、以下、82歩 85飛成 45歩(これなら一応納得図)で、悪くないのではないかと思って57角成と指しました。
これなら一応納得図
5図からの指し手
78金 47馬 85飛 84歩 同飛 82歩まで後手勝ち(投了図)
投了図
78金は、先手の方に錯覚があったのでしょう。
もしかすると、47馬に85飛で受かると思っていたのかもしれません。
ですが、47馬の時に後手は二歩持ちましたので、84歩と叩いて銀のヒモを切ってから82歩と受けて勝勢となりました。
投了図は銀か桂を取られてしまいますし、先手の二枚の飛車も働きが悪いので投了はやむを得ません。
本局は、1図の時点で形勢を悪くすると言うお粗末な序盤でした。
ですが、3図で思い切って仕掛けたのがお相手の意表を突いたようで、馬を作って乱戦に持ち込むことができ、混乱に乗じて短手数の決着となりました。
まあ、こんな勝負手を出さなくても良いように、序盤からちゃんと考えて指さないといけないですが、
「このままだと本格的に悪くなる」
と感じたままに仕掛けたのが結果的に功を奏しました。
いつもいつも作戦勝ちから局面を優位に進められるのが理想ですが、やり損なった時にすぐに切り替えられると、たまにはいい想いが出来ることもあると言うことです(笑)。
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