てまり*

無理なく、ほどよく、心地よく。お茶と読書と、シンプルな食べもの、そして絵を描くことがすきです。◆ イラストエッセイと、徒然ひとりごと。

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無理なく、ほどよく、心地よく。お茶と読書と、シンプルな食べもの、そして絵を描くことがすきです。◆ イラストエッセイと、徒然ひとりごと。

最近の記事

春ですね 野の陽だまりの 玉子とじ 旬をほおばる あたたかな朝 * * * つくしの玉子とじ、毎年の楽しみです。 近くの野原で、今年も家族がたくさん摘んできてくれました。 なんとも言えぬ優しいほろ苦さ。落ち着く味がします。

    • あめふりの日は、心も体もあたたかく。

      今日はあめふり。冷たそうな風に混じって、雨粒が屋根や窓をたたく音が、ぱらぱら、ぽてぽて、聞こえてきます。 静かにしとしと降ってくる雨にはそれなりの風情もありますが、しかしとくに近年のあめふりは、ざあざあ降ったり急に降ったりと何かと強気でせわしないなあ、なんて思ってしまいます。 そして、ただでさえ寒さの厳しい冬時、冷たい雨はどうしたって、心身にこたえますよね。 お天気につられて気持ちもずーんと沈みがちなこんな日は、まずはしっかり体を温めることにしています。 冷えには普段から注

      • 『今』につながる、あの日の思い出。

        「成人の日、おめでとう。大切な節目だから、なにか記念になるものを買っておくといいよ」 ちょうど10年前の今日。電話の向こうの母から受け取ったのは、こんな言葉でした。 遠方の大学に進学し、家を出て一人暮らしをしていた私。 もともと、人がたくさん集まる場所が苦手なうえ、数日後に控えた大掛かりな提出物の〆切も重なっていたので、成人式のための帰省は諦めていました。 母からの電話があったのは、課題制作の山場を越えて、ひと息ついた夜8時ごろ。なんだかしみじみと嬉しかったのを憶えて

        • あのころも今も、変わらないもの。

          冬の朝、くっきり冷たい外の空気を吸い込んだ時の、体がきりっと目覚めるようなあの感覚が好きです。澄んだ空気がしんと沁みてくるような感じがして、ああ冬だなあ、と実感します。なぜだか私は昔から、四季の中でもとりわけ冬の風情が好きなのです。 ……とはいっても、冬の寒さに強いわけでは決してなく、むしろかなりの寒がりな私。だからでしょうか、あたたかい飲みものを自然と好むようになったのは。 少し大きめの、ぽってりしたマグカップでいただくホットドリンクは、私にとって冬のちいさな幸せの象徴

        • 春ですね 野の陽だまりの 玉子とじ 旬をほおばる あたたかな朝 * * * つくしの玉子とじ、毎年の楽しみです。 近くの野原で、今年も家族がたくさん摘んできてくれました。 なんとも言えぬ優しいほろ苦さ。落ち着く味がします。

        • あめふりの日は、心も体もあたたかく。

        • 『今』につながる、あの日の思い出。

        • あのころも今も、変わらないもの。

          今日はどれにしようかな。

          ほとんど毎日、かならずしていることがあります。まず朝起きて、歯磨きの後にコップ一杯のお白湯を飲むこと。次に、お風呂に入るとき、入浴剤を入れること。そして夜寝る前に、あたたかいお茶を飲むこと。この三つです。 三つとも、自分自身でこうしたい、あるいは、こうすると心地よい、と思って自発的に始めたことです。どれも習慣となって久しいので、今ではもう生活するうえで欠かせないことのようになっています。 ただ、自分にとって当たり前のことだからといって義務感を感じるようになったり、文字通り

          今日はどれにしようかな。

          本日、ホットケーキ日和。

          二、三か月に一度くらいでしょうか、ふと唐突に、ホットケーキが食べたくなる日があります。まさに今日だったのですけれど。 お店で食べる、ふわんふわんのパンケーキももちろん大好きなのですが、今日のような場合に私が食べたいと思うのは、ホットケーキミックスを使って簡単にできる、いわゆる家庭的なホットケーキ。 (「パンケーキ」と「ホットケーキ」、違いについての記事はあちこちで見かけますが、私は自分のイメージの違いによって呼び分けをしています。ざっくり言うなら、お店などで食べるおしゃれ

          本日、ホットケーキ日和。

          それ以上でも、それ以下でもなく。

          「カフェが好きです」と言うと、「へえ、コーヒー好きなんですね!」と言われることがよくありますが、私は正直なところ、コーヒーそのものはあまり得意ではありません。ブラックコーヒーも飲めないことはない……のですが、甘いもの派の私にはビター成分が強すぎて、ほんの少しの量で満足してしまいます。 だから、家で飲むのも、カフェでオーダーするのも、決まってラテなどミルクやシロップの入ったマイルドなものばかり。コーヒー通の方からすると、子供だなあと思われるかもしれませんが、私はその、ほどよい

          それ以上でも、それ以下でもなく。

          疲れたな、と感じた時の、ちいさなひなたぼっこの効能。

          今日、ちょっと疲れてるなあ……と感じること、誰だってあると思います。著しく体調が悪いわけではないけれど、なんだか体が重いとか、ちょっとしたことで気持ちが沈んでしまうとか。なんともないと思っていたのに、知らず知らずのうちに溜まっていた疲れを急に自覚することもありますよね。 私自身、日々少しずつセルフケアをしているつもりではあるのですが、それでもどうしても、何かのきっかけで不意にどっと疲労を感じることがあります。 そんなときによくしていることが、ひなたぼっこ。ひとまずおひさま

          疲れたな、と感じた時の、ちいさなひなたぼっこの効能。

          帰りの切符は、夜の光でした。

          以前、年に4、5回ほどのペースで遠出をしていた時期がありました。遠出といっても、行先は日本国内のみ。そして、たいてい一人旅です。 普段はインドアな私ですが、よし!と思い立ったときのフットワークは人一倍軽く、友人に会いに行くためだったり、遠方での催し事に参加するためだったり、ともかく心惹かれる目的のためとあらば、実に思いのまま飛び回っていたものです。 みんなでわいわい出かける旅行も良いものですが、一人旅にはそれとはまた違った醍醐味があると思っています。気楽に、気ままに、必要

          帰りの切符は、夜の光でした。

          「週末の家族読書」の思い出。

          子供のころ、我が家には、とあるささやかな恒例行事がありました。週末の昼下がりになると、家族みんなで図書館に出かけて思い思いの本を借りてくる、というものです。そして、帰宅してから銘々リビングに寝転がって、借りてきた本たちを黙々と読むのです。 たいていは土曜日のお昼ごはんの後、少し休んでから。誰からともなく図書館用の大きな鞄と貸出カードを用意して、出かける支度をはじめます。(貸し出しは1人10冊まで、と決まっているのですが、たいていみんな上限ぎりぎりまで借りるので、大きくて丈夫

          「週末の家族読書」の思い出。

          わたしのお風呂ルーティーン。

          お風呂が好きです。それはもう、赤ちゃんのころから。(両親曰く、「お風呂に入れてやるといつも気持ちよさそうに目を細めて『ほ~』なんて言ってたよ」とのこと。我ながら笑ってしまいますが、もはや生まれながらの娯楽なのかもしれません。) 季節を問わず、毎日湯船につかります。40℃くらいのお湯にのんびり浸かりながら、ぼーっと考え事をしたり、鼻歌を歌ってみたり、マッサージをしたり。半身浴をすることもありますが、「お風呂の時間」そのものを楽しみたいタイプなので、本やスマホを持ち込むことはあ

          わたしのお風呂ルーティーン。

          「フルーツジュースに満たされたい日」のこと。

          想像してみてください。もしも今、おなかを空かせているあなたの目の前においしそうなフルーツがどっさり置かれて、「さあ、どれでも好きなだけ食べていいよ」と言われたとしたら。 蜜がたっぷりの真っ赤なりんご、フレッシュでみずみずしいオレンジ、つぶつぶ弾けそうなぶどう、その他いろいろ。おそらくほとんどの人は喜んで、好きなものを好きなだけ選んで食べてしまうのではないでしょうか。 ところが、ここに例外が一人。ちょっと困ってこう答える人が。「すみません、私、フルーツ苦手なんです」 * 

          「フルーツジュースに満たされたい日」のこと。

          はじまりは、ちいさな直感。

          ここ数年、寝る前にあたたかいお茶を飲むことが日課になっている私ですが、最近はもっぱらハーブティーを楽しむようになりました。今年はお気に入りのハーブティー専門店の福袋をゲットしたので、毎日いろんなブレンドを試しては、優しい香りとほのかな風味に癒されています。 ハーブティーに興味を持ったのは、いつの頃だったか――絵本や物語の世界にも時々登場していたので、なんとなく体によさそうなお茶、という程度の知識は幼いころからありましたが、おそらく大きなきっかけは、大学の頃にちょっと背伸びを

          はじまりは、ちいさな直感。

          何度でも、「好き」に会いたくて。

          「趣味はなんですか」と尋ねられた時、私はたいてい「本を読むことです」と答えます。本当はもっと多趣味で、絵を描くことやピアノを弾くことや、ほかにもいろいろと好きなことはあるのですが、この問いかけに対して自然と出てくる言葉はなぜだか決まって「本を読むこと」。 幼い頃から絵本が好きで、お気に入りの本は暗唱できるほどだった私。小学校にあがると、図書室はもちろんいちばんのお気に入りスポットになりました。お昼休みは毎日のように本を読みに行き、夏休み前には借りられるだけの本を借り、それは

          何度でも、「好き」に会いたくて。

          ちょっと一息、お茶でも飲むみたいに。

          「お茶の時間」という言葉をはじめて知ったのは、幼少の頃。絵本の中の世界でした。それ以来、幼い私はその言葉と文化をすっかり気に入って、ことあるごとに「お茶」したがりました。 たとえその時飲むお茶が日常的に飲んでいる麦茶や緑茶であったとしても、「お茶の時間」と称していただくことで、それらはたちまち特別なものになりました。(そして、ときどき母が出してくれた缶入りの紅茶は、さらに特別感をプラスしてくれたものです。) 大人になった今も、もちろんお茶好きは相変わらず。あたたかい飲みも

          ちょっと一息、お茶でも飲むみたいに。