生地屋さんの布で和の服を作る
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着物は反物(たんもの)で作るだけじゃない
着物は反物で作るしかない、和の服は難しいと考えていませんか?
そんな事は全くありません。
ミシンが使える人ならば非常に簡単に作る事ができます。
ただ着物を作るために反物があるのは事実です。
反物は布幅が40cm前後で織られています。
つまり布端の始末の仕方が、布の耳と言う前提で浴衣をはじめとして作られているのです。
その為、すこし裁断方法や布の始末に工夫が必要になります。
もともと着物は全て縫いあげるのに、手縫いが前提になっています。
つまり和裁をする人から見れば、ミシンは手抜きの象徴みたいに言われた時代もあります。
そしてひたすら直線で長く縫う場所が多い着物なので、布がミシンに耐えられるのであればこれほどミシンに向いた服も無いと感じます。
ミシンが苦手な人はなぜ苦手なのでしょうか?
直線縫いはともかく、カーブが上手にかけられないと言う点だと思います。
私はカーブの部分をミシンをかけずに縫い残し、後から手縫いしています。
もちろん上手にミシンがかけられれば良いですが、無理だと思ったら手縫いにすればよいのです。
特に襟肩回りなどはミシンで綺麗に縫うのは難しいと思います。
戦後考案された着物の縫い方
ウールの着物と言うのがありますが、これなどは戦後に出て来たそうです。
そして最初は広幅物として通常の反物の2倍の幅(約76cm)で売られたそうです。
今でも長襦袢地として見る事ができます。
この広幅生地をどう使うかで様々な裁断方法や新しい縫い方が考案されました。
その中には背縫いが無い物、脇縫いが無い物、衽(おくみ)が無い物がありました。
しかし現在どうなのでしょうか?
既製品などを何となく見ていると、背縫いや脇縫いが無い物はほとんど見ません。
衽は二部式襦袢や作務衣などでは、無い物も多いようです。
下着はすっきりさせたほうが着ていて楽ですから、衽の無い物が好まれるのは当然かもしれません。
戦後75年が経過し、一時的にかなり斬新な仕立て方をされた着物ですが概ね本来のかたちが残ったと思います。
ただ見えない所こそ丁寧に仕上げるという仕立て方を守っているお流儀と、ミシン縫製でいろいろな仕立て方に分かれたのかな?と感じる場面もあります。
着物の1つとして呼んでよいのか少々悩みますが、35年ほど前に登場した二分式着物は未だに残っていますので市民権を得たのかな?と感じています。
初めて登場した時は帯の無い姿でコートとも違う姿で何だかなぁとコメントするのも悩みましたが、着物で接客業をする方たちの間では重宝されているようです。
私としてはお洗濯の楽な素材が良いと思っていますし、外出時は杖必須の生活なので足元が安心なスタイルが良いです。
そう考えた時、安価で入手しやすい手芸やさんなどで販売されている布を使って作務衣を作るのが良いと感じています。
本音は着物を着たいのですが、現在玄関が2階にある都合上やはり動きやすいのが一番です。
お気に入りの布で和の服を作る
仕立てと言う視点で見た時、作務衣も浴衣も大差なく作る事ができます。
浴衣と書きましたが布の模様や色遣いを選べば、綿の着物として着る事ができます。
そこで布を選ぶときの注意点を上げてみたいと思います。
反物との大きな違いは布の幅です。
広幅物として幅76cmの布があります。(街の生地屋さんではあまり見ない幅です)
シングル幅として90cmほどの布があります。(これも見かける機会が少ないです)
一番目にするのが110cm幅になります。
そして海外物などに多いのが140cmとか150cmの布です。
これらの布を反物の幅に裁断する事で和の服を縫います。
つまり本来であれば布の両端が耳になりますが、裁ち目の始末が必要になってきます。
そこで作りたい布が決まったら、耳を含めて布端の始末をどうすれば良いかを考えます。
耳くけ、折って端ミシンをかけてまつりくけ、折ってくける、ロックミシンをかけてくけるなどの方法があります。
これらの方法であれば非常に簡単に布端を整える事ができます。
しかし時に布端の始末方法として裏布を使い、バイアステープで包む必要がある物もあります。
着物地で言えば絽や紗など夏物に使われる透ける布になります。
着物の時は本当は背伏せ(せぶせ)と呼ばれる専用のテープ状になった布を使用します。
洋服生地で作務衣や着物をを作る時、生地が荒かったり厚さが出てしまう物などはバイアステープを使用したほうが良い場合もあります。
ここで言うバイアステープですが市販の物は不向きです。
厚い布に対して薄く仕上げるのが目的なので、薄めの裏地を使用してバイアステープを作ります。
という訳で布を選ぶときに布端の始末を考えて必要であれば裏地を一緒に購入したほうが良いかもしれません。
布端の始末と同時に考えなければいけないのが、布の耳のチェックです。
全く問題なく布の耳が利用できる場合は良いです。
時に布の耳がつれている時があります。
変な縮みがある状態です。
基本的にはハサミを入れるのは最後の手段と考えてください。
まずアイロンやおこてで伸ばしてみます。
気持ちフリルのように見えるか?という感じで伸ばすことが出来れば良いです。
あまりひらひらするのは良くないです。
どうしても無理の時は耳に斜めのハサミを入れる方法と、布の耳を全て切り落とす方法があります。
どちらの方法を使うかは布の状態やお裁縫のお流儀で変わってきます。
布の状態を見て耳が使えるか?布の始末はどうするかを考えて材料を購入します。
工場縫製と家庭縫製では違う
工場縫製では仕様書を書くときに、全てミシンで完成するように書く必要があります。
しかし着物は長い間手縫いが基本でした。
和の布は繊細で、ミシンで縫ったら傷つけてしまいそうな布も多いです。
つまり考え方が真逆なのだという事を念頭に置いておく必要があります。
そして多くのハウツー本は洋裁を勉強した方が、洋裁のお流儀で作務衣などの作り方を書いているという事です。
つまりロックミシンで裁ち目の始末をしたら、その縫い代を身頃などに抑える時は必要最小限で済ませる方法でテキストを書いています。
この場合1cmの縫い代で制作するからこそ、縫い代を身頃などに止める事をほぼしないで衣類を完成させることが出来ます。
また手縫いの部分が発生しないので工場縫製の仕様書を書くことが出来ます。
しかし本来の和裁の仕立てをした場合、脇の縫い代は約4cmほどになります。
4cmの縫い代なので折ってくけるなどの処理が必要になってきます。
もしミシンでこれを行ったら、脇と袖付け側にぐるりとミシンのステッチが入る結果になります。
型紙が身体にフィットしない
先日私は市販のテキストを使い、作務衣を作ってみました。
出来上がった時は良さそうに見えました。
しかし着てみると、どうも落ち着かないのです。
サイズ選択は間違っていないはずなのに、身幅が自分の身体にフィットしていないように感じます。
もっと言うならば病院の検査着のような感じで落ち着かないのです。
学生時代に浴衣をはじめとする何枚かの着物を縫った時はこんな感じは全くありませんでした。
和裁の勉強をしていたころ、先生がさんざん販売されている着物のシルエットが悪いと言っていた理由がようやくわかりました。
しかし妊娠出産を経て当時と比べると、体重も周り寸法も大幅に大きくなっています。
自分サイズの服を作るためには、新しく寸法を決めなおす必要があります。
私はミシンを上手に活用しながら自分サイズの着物や作務衣を作りたいと考えています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。