キンモクセイ盗賊団の池
#毎週ショートショートnote
#裏お題
その池は、キンモクセイ盗賊団の棲家にある池だった。キンモクセイ盗賊団の名前の由来、一番目の頭領がキンモクセイの香りが好きだから、という事でその名が付けられ四代目の今になっても使われているとの事だ。
この盗賊団、鼻が利く者が選ばれて入団している。
『盗賊』というからには「何かを盗む」奴らだ。何を盗むのかというと、悪い奴らからお宝を盗む、いわゆる義賊だった。
「悪い奴ら」は、彼方此方にいた。表に出てはいけない裏金、小細工を屈して獲った宝石など様々だ。
鼻の利く者たちは何処からともなく匂うそれらの不正な品々を簡単に盗んでいく。
そして、それをどうするかというと
池の中に金庫を置いて、時々、貧しい人々や、恵まれない人たちに新しい金に換えて送っているのだ。
「親方の鼻の良さは一番ですね。さすが四代目を継ぐだけのことはある」
仲間は四代目の盗っ人稼業の素早さに賞賛を贈った。
「だがな、そんな俺でもひとつだけ弱いものがあってな」
「それはなんですか?」
「トイレの芳香剤なんだ。ああいう人工的な匂いには鼻は働かない」
「なるほど」と仲間たちは、
「自分も、そうだ、俺もそうかも」
と、皆が言い始めた。
「おい、コレは内緒だぞ。悪どい奴らにわかってしまったら、働けなくなるからな」
「はい!わかりました」
誰にでも苦手なモノってあるんですね。
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