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エッセイ 白い猫

私の家の近くにブランコだけの遊具がある公園がある。この辺はブランコで遊ぶ子どもなどいないので、誰も遊ぶ者はいなかった。

ある日、公園の隅っこに猫がいるのを見つけた。白い猫。もう大人の体格をしている。迷い猫?
猫に近づくことはせずに、じっと見ていた。猫もこちらをじっと見ている。
一歩、近づく。逃げない。さらにもう一歩。逃げない。そこから声を掛けてみた。

「どこから来たの?お家はわかるの?」

返事はない。

まだ見ていた。猫もまだ見ている。

「こっちに来る?おいで」

そしたら、目の前にやってきた。
人慣れしている。首輪をしているから飼い猫だろうに、散歩の途中で、此処まで来てしまったのかもと思った。

白い猫は、毛並みも良くやさしい眼差しで私を見ていた。

「いい子だね」

そう言ってあたまを撫でると靴に擦り寄ってきた。

「甘えっ子なのね。いい子ね」

と言うと猫は私の目を見ていた。

「猫さん、お家に帰らなくていいの?」

聞いてみた。

「ニャ」と声を出す。

尻尾はぴんと高くあげ、

「私を見て」とアピールをしている。

こんな猫は初めてだ。普通はここまではしない。たいていは、逃げてしまう。
でもこの子は逃げずにじっとしている。

猫を飼っているのに猫に好かれたことがないので
※居て当たり前の存在らしい←夫談

初めて会った猫が擦り寄ってくるのは嬉しい。

「なんだか、良い関係になりそう」
と思いつつ、白い猫とは、「また会おうね」と言って 別れた。

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てみ
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