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【百人一首 百人百首】59番
#百人百色
三羽烏さんの企画です。
私は59番を選びました。
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やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて
傾(かたぶ)くまでの 月を見しかな
現代語訳
(こんなことなら)ぐずぐず起きていずに寝てしまったのに。
(あなたを待っているうちにとうとう)夜が更けて、西に傾いて沈んでいこうとする月を見てしまいましたよ。
赤染衛門が、自分の姉妹に起こった話を憤りながら詠んだ歌だそうです。
今夜もあの人は別の方の所へ行っているのね。
私のところに来てくれるのはいつかしら。
もう待ちくたびれて、それでも、来てくれるんじゃないかと起きて待っている私はバカよね。
ねぇ、お姉さん、私はどうしたらいいのかしら。優しいあの人をこんなに愛しているのに、あの人は移り気で、約束さえ簡単に破ってしまう。それでも憎むことが出来ないの。愛の方が勝っているのよ。
こんな自分がイヤになる時もあるのよ。ほんとよ。
姉の言葉
あなたったら、朝まで起きていたのね?
彼を待っていたの?
来ると約束しておきながら、来ないなんて、ひどいわ!別の人にしたらどうなの?
え?優しい?
あの男が優しく見えるのは一緒にいる時だけだと思うけど、困った人ね。
あの男にはちょっとお灸を据えてやらなきゃいけないわね。一晩中、女を待たせるなんて、男の風上にも置けないわよ。
さあ、少しおやすみなさい、お月様も沈んでしまったわ。
でもね、こんなに好きな相手が出来るなんて、私には羨ましいところでもあるわね。
そんな男は居なかったもの。
なぜか、私は相談役 笑
みんなが相談しに来るのよ。私なんてそんなに人生経験深くないのに、まして恋愛経験だって他の人より少ないと思うわ。それなのに、なぜ、そういう役目になってしまったのかしら?
物事をはっきりさせないと気が済まない、性格のせいね、きっと。
そして、ミキオに会う。
「ミキオさん、来てもらった理由はわかるかしら?」
「いいえ、ボク、何かしましたか?」
「それ、本気で言ってるの?それとも、とぼけてるの?」
「あの、本当にわからないんです」
ミキオは、『さっぱりわからない』という顔をしている。
「ミキオさん、うちの妹をどう思っているの?」
「ユリさんのことなら好きです。愛しています」
ミキオは、真っ直ぐこちらを向き答えた。
「それじゃなぜ、約束を守らないの?あの子は一晩中、あなたのことを待っていたのよ。これはどう釈明するのかしら」
「あの日は......すみません。突然、他の女性に誘われて、行ってしまいました。だけど、ちっとも楽しくなくて、月が昇っている内に帰ったんです。ユリさんのところへ行けば良かったと、心から反省しました」
「まったく、あなたって人は、どうしようも無いわね」
「ごめんなさい。ユリさんも怒っているでしょうか?」
「あの子は一途にあなたを想っているわ。妹のところへ行って、自分のことを謝り、あの子に優しくしてあげてちょうだい。私が言えるのはここまでよ」
「わかりました。ユリさんをしあわせにします」
ミキオは、嬉々としてその場を離れた。
「このくらいでいいかしらね。
ふぅ、こんなことは、やりたくないのよ、私は」
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