パワースポット「沈む寺」
「この地域も猫が集まるねこ寺が増えたのう」
和尚は、『何故、この寺に猫は来ないのだろうか』と不思議に思っていた。
「和尚さん、この寺にも、独自の人が集まる趣向を考えてはいかがでしょう?」
小坊主が和尚に聞いてみた。
「ふむ、ワシも考えているのだが、何がいいか、分からんのだよ」
「周り、ねこ寺ばかりですもんね。なぜこの寺に猫は来ないんでしょうね」
古文書を調べてみた和尚は、ハッとした。
なんとこの寺には、龍が住む池があったことがわかった。それゆえに猫は敬遠しているようだ。
池の場所は、本尊の観音様が鎮座する後ろだった。
和尚と小坊主は、力を合わせて観音様の後ろの床板を剥がしてみた。
「ああ!池がある」
和尚と小坊主は驚き、観音様に祈った。
すると、池が広がり本堂が池の中に沈んでしまった。
水の深さは、足の膝あたりなので和尚と小坊主は、全身が濡れることは無かった。
そして観音様の周りには以前からそこにあったように観音様と同じ金銅の龍が絡み付いていた。
「これはすごい!」
和尚は、叫ぶと観音様に心を込めて祈った。
小坊主は、「どうして分からなかったのですか」と和尚に聞いても返事が無かった。和尚も、今初めて知ったからだ。
和尚は、それからも長く長く祈りを続けるのであった。
寺は新聞にも掲載され、「新たなパワースポット沈む寺」として参拝者が大勢押し寄せて来るようになった。
※今回の記事で「龍 観音様」で検索したら
福岡県朝倉市に龍が絡みつく観音様がある事を初めて知りました。
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