誤字審査/毎週ショートショートnote
「あれほど気を付けて校正•審査していたのにすり抜けてしまいました。全て責任者である私の過ちです。申し訳ありませんでした」
と、デザイン会社社長はスポンサーに謝った。
「まったく困ったものだ。もう作品も出来上がり、メディアで宣伝も始まっているのに。しかも、誤字のまま、宣伝されるとは」
「中身を変えなくてはいけない状況ですよ、社長」
「そしたら話がまるで変わってしまうだろう。観る側は、どう思う?付いて来る客は、いると思うか?」
「客は、大丈夫だと思います。今の世の中、何がヒットするか分かりません。一度試してみるのも良いかもしれません」
ということで、あからさまに間違えてしまった映画のタイトルは、
『雲の名は。』
青春感ゼロの雲のドキュメンタリー映画に仕上がるのだった。
延々と雲の名前を事細かく説明するこの映画は、気象予報士や、雲が好きな人たちから好評を得ていた。
「ほら、映画は、ヒットしています。良かった、ホントに良かった」
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