長距離恋愛販売中 毎週ショートショートnote
まち子は、その時を待っていた。
午後8時、その時は来た。通常1万円の「長距離恋愛」が半額の5千円になる時間、午後8時。店員が半額のシールを貼っていく。
すかさず「パッ」と取った。今日は、4人が待っていた。でも残りは2枚。その1枚を取れたまち子はほくそ笑んだ。レジを通り家に帰るとすぐに中身を開けてみた。「メッセージご利用ください」との文字。早速メッセージを送った。なかなか返信が来ない。スルーされたのかと思いがっかりした翌日の朝、メッセージが来た。開いてみると「こんばんは」だけの文字。こっちは朝なのに向こうは夜?と、またメッセージ。「初めまして、僕は南米のボリビア在住です」と書かれていた。
長距離過ぎる!!
まち子は笑い転げた。
「遠いですね」と送ると
「おやすみなさい」と返信が来て
その日は終わった。
こっちは朝なのに。
「これ、どうしたらいいの?」
わからないまま途方に暮れたまち子。
『次は定価で買おう』と思うまち子だった。