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放伐と禅譲/青ブラ文学部
ぜんじょう-ほうばつ【禅譲放伐】
古代中国で、王朝が交替するときの二つの方法のこと。▽「禅譲」は君主が徳の高い人物に帝位を譲ること。「放伐」は悪逆で帝位にふさわしくない君主を有徳の人物が討伐すること。太古には理想の禅譲が行われていたが、後には帝位を奪い取る際に、形ばかり禅譲の形をとることも行われた。
六本木、とあるビルに賑わいを見せているホストクラブがありました。このクラブには、『王』が代々存在しており、王の座は特定の方法で受け継がれていました。
第一の王、リュウ
王として君臨していたのはリュウ。誰よりも人気があり、後輩にも気配りが出来る人気者でした。しかし、時が経つにつれ、リュウは自分の力を振りかざすばかりで、仲間や後輩たちの信頼を失う存在になってしまいました。
仲間は次第に不満を抱き、すると雰囲気の悪さを感じた客も減って行き、店は閑古鳥が鳴くようになってしまいます。
ある日、同僚のジンが勇気を出して立ち上がります。
「リュウ、おまえのやり方は間違っている。王の座を知り退け!」
ジンの言葉に多くの仲間たちが賛同し、ついにリュウは王座を追われることになりました。
こうして新しい王を選ぶ動きが始まります。
これが【放伐】(ほうばつ)
皆の力による王の追放でした。
第二の王、セイジ
次に王になったのは、セイジ。
セイジは温和で仲間たちの話をよく聞く王でした。
穏やかなセイジのおかげでクラブは再び平和を取り戻しました。去っていた客も戻ってきてくれてクラブは、うまく行っているようでした
しかし、セイジは自分が年老いてきたことを感じ、
「自分より若く有能な者に王座を譲ろう」と思いました。
ある日、セイジは皆を集めて言いました。
「私はもうこのクラブには力不足だ。このクラブをより良くするために、
次の王としてテツを推薦する」
皆はセイジの決断に賛成し、テツが新しい王となりました。このように自らの意思で王位を譲ることが【禅譲】(ぜんじょう)でした。
こうして、ホストクラブの王位は「放伐」と「禅譲」という二つの異なる方法で受け継がれました。
一つは力によって追放される形、
もう一つは自らの意思で譲る形。
それぞれの方法が、ホストクラブの未来を左右する出来事になりました。
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