残り物には懺悔がある
その日、たけしとまさみは言い合っていた。
『残り物には懺悔がある』ということについてだ。
まさみ「やっぱり、残り物には福があるって言うわよー。だって私、家でいちばん最後に帰ったら、皆んな寝ててさ、お父さんが買ってきた、お土産のお寿司、一人で食べちゃったもの」
たけし「いやいや、俺は残り物には懺悔する方だよ」
まさみ「えっ、どうして?」
たけし「このまえ、晩ご飯の残り物、冷蔵庫で見つけて『おっ、これ俺のだ!』って喜んで食べたんだ。
それ、俺のじゃなくて、妹のケーキだったんだ」
まさみ「えっ、妹さん、怒ったでしょ」
たけし「はぁ、すごい剣幕だったよ、たった一つのケーキのために、あいつ、俺の弁当に激辛ソースかけて、あと、納豆も入れてあって、クラス中、ソースの匂いと、納豆の匂いで、みんなに笑われる始末だったんだ。
愛しの由美ちゃんなんか、そっぽ向いちゃってさ、残り物の福?俺は残り物で懺悔して、倍返しで懲らしめられんだ」
まさみ「あらら〜ご愁傷様」