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夜からの手紙/毎週ショートショートnote

夜になると玄関の下に手紙が届く家があった。

「夜からの手紙」

その手紙をもらった者は、手紙を開けて、中に書かれている通りのことをしなければならない。出来ないと殺される。 

その手紙の中身は

明日は朝早く起きてラジオ体操をします。
時間 5時 噴水公園に集合

と書かれていた。

受け取った佐川は胸を撫で下ろして

「こんなこと、全然、出来るじゃん」

と思い床に付いた。

すると、外が異様な明るさに包まれ
激しい音楽が流れて来た。

佐川は『なんだろう』と思い
窓を開けて外を見た。
なんと、サンバカーニバルが始まっていた。
目が合ったビキニ姿で派手な装束をしている女に
「早く、外に出て来て!一緒に踊るのよ」と言われた佐川は、パジャマから洋服に着替えて、外に出た。

「時間通りに噴水公園に行けばいいんだ」

と、目が合った女とともにサンバの踊りに身をまかせた。酒も飲み、酔っ払った佐川が、道路で目を覚めた時は午前7時。

「あ!オレは一体!!」

その時、弾が佐川の頭を貫通した。


それからというもの、夜の手紙を受け取らないように玄関下にガムテープを貼る家が彼方此方で見掛けられるようになった。ただ、窓に貼るのを忘れている家が多くあった。




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