霧の朝
「霧の朝......。やっぱり霧が出たわね」
彼女は彼に言った。
「そうだね、霧が出たね」
彼が彼女に言った。
「こんな別れ方も幻想的でいいかもね。ほら、霧の中に消えていく感じでしょ」
彼女が彼に言った。
「僕たちの別れにはあり得ないほどのシチュエーションになったんだ」
彼が彼女に言った。
「あなたから行っていいのよ」
彼女が彼に言った。
「でも、キミの見えなくなる様子を見ていたい」
彼が彼女に言った。
「私はあなたが霧に呑まれる姿を見ていたいのに」
彼女が彼に言った。
「困ったな」
彼が彼女に言った。
「そうね」
彼女が彼に言った。
ふたりは言葉を無くしていた。
すると、霧が晴れてきた。
「あっ」
ふたり同時に声が出る。
その時
「こらああ!!いつになったら学校行くの!?
まったく、霧の朝なんて毎日でしょう!毎日、毎日、何してるの!
早く学校に行きなさい‼️」
母が怒っていた!
「ヤバい!行くぞ、ゆみ!」
「うん、ケン、行こう!」
双子のふたりは走って学校に向かっていった。