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寒波/ボケ学会


寒波くんは、悩んでいた。自分のせいで西から北まで雪がとても多く降ってしまったからだ。
「僕は、寒波だけど雪が増えるのは望んでいないのに、、」

低気圧姉さんが言った。

「何言ってるの?寒波!あんたが寒い空気を運んでくるから、あたしは雪を降らせるようになったのよ。おかげであたしまで悪く言われていい迷惑だわ」

寒波くんは、自分が大きくならないようにするにはどうしたらいいか考えていた。

「もっと空の高い所にいればいいのかもしれない」

寒波くんは、下に行かないように体を動けないように一生懸命、我慢した。

「ふう、大変な作業だ。あそこに穴が開いてあるから、入りたい。でも、入ったら寒波が下に行ってしまう。困ったな、誰か助けてくれないかな」

「おーい、寒波くん、僕の風に乗っかってみなよ。好きなところに連れて行ってあげるよ」

「西風さん、本当に?ありがとうございます」

寒波くんは西風さんに乗ってみた。

「うわー進む進む、いいぞ雪が多いところを通り抜けていける。

「さあ、ここまで来たらいいだろう。寒波くん、しばらく此処に居なよ」

「ありがとう、西風さん。此処は初めてだよ。なんだか暖かいところだね」

「ああ、無理にここまで動いてしまったからもうだめだ」と言って西風は消えてしまった。

寒波は、太平洋の真ん中あたりまで来てしまった。

そして、僕の後を追って低気圧姉さんがやって来た。

「あたしを置いていかないで。あたしは寒波と一緒じゃないとダメなんだから」

「そんな!じゃあ、此処に雪を降らせるの?」

「そうよ。それがあたしの仕事だもの」

ハワイに雪が降って来た。

だが寒波は、長旅で弱っていた。

「僕、もう無くなっちゃうよ」

それとともに低気圧も無くなった。

一方、いつもの場所では、
新たな寒波が生まれていた。

「ふん、僕は此処を動かないぞ。おい、低気圧!準備は、いいか」

「もちろん、行くわよ」

今年初めての大型寒波が訪れたのだった。

「はぁ、この寒波、大変ですなぁ」

タクシーの運転手が客に話した。

「ハハハ、これしきの寒波など、我関せずですわ」と客が言うと、

「ええ!それはどういうことですか?」

運転手が客に聞くと、

「いや、私なんぞはもう50年近くも妻と寒波状態なんですわ」と
笑って言った。

「アハ、ハハ....」

運転手は、笑うしか無かった。


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てみ
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