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クローン人間/ボケ学会


「会長、大変です。クローンを扱う機械が変な動作をしたと思ったら、どんどんクローンが増えているんです」

研究者の菅野は、急いで会長に話した。

会長は、
「それで、誰のクローンが増えているんだ」

「あのー、私です」
菅野は申し訳なさそうに答える。

「君のクローンだって?なぜだ?
私のクローンじゃ無かったのか?」

「す、すみません、会長のクローンを扱う前に自分ので試してみたんです」

菅野は焦っていた。

「どんどん量産されてます。どうしましょう」

「世の中に出すな。わし以外のクローンは、許せん」

菅野は言葉が無かった。

「会長、私に自分を殺せと言うのですか?そんな、残酷な.....」

「バカもん!殺せ、みんな殺せ!わし以外のクローン人間など許せん!」

「会長.....」

元々、クローン人間を作るなど違法で倫理に違反しているのに、菅野は自分のクローンなど殺せないでいた。

この間にも菅野のクローンは、増え続けていた。

「とりあえず機械を止めなければ」

そう言うと、動作している箇所に手を加えて、ようやく止まった。

「俺は、自分のクローンを殺せない。俺のクローンは、何人いるんだろうと数えたら35人だった。

俺が35人。
俺を入れると36人。

ひとりに話しかけてみた。

「お前は誰だ」
「俺は菅野だ。そういうお前は誰だ」
「俺が菅野だ」
「俺は菅野だ」
「俺が菅野だ」
「俺も菅野だ」
「俺が本物の菅野だ」
「俺が正真正銘、菅野だ」
本物の菅野は混乱😵‍💫してきた。

やはり、殺すしか無いのか......。

菅野は「殺すのでは無い。処分するのだ」
と自分に言い聞かせて、一人を選び、
処分場に連れて行く。

「どうするんだ、俺をどうするんだ!」

「あー俺を処分出来ない、俺は、俺は」

菅野は自分を処分出来ず苦しんでいた。

その間にクローン人間の俺たちは、
結束して、あることを実行しようとしていた。

それぞれに役割を持たせる事にしたのだ。

菅野1号が動いている時は他は休む。
菅野2号が動いている時は他は休む。

時間単位で動く、休むを繰り返す事を決めた。
居場所は、此処の研究所。
此処から出ない。
単独行動厳守。

長は菅野1号。

いろいろと勝手に決められてしまい
本物の菅野は、もはや、何処にいるのかわからない状態だった。

菅野1号が取り仕切り、それぞれに番号を付けていった。
本物の菅野は36号になった。



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