INFJ(?)すぎた彼女への手向け
この話はプライベートなので書くべき話ではないと思っていたけれど、伝えても意味がないし、貯めこむことも良くない気がしていた。
やっぱり僕流は論理的に文章にまとめることだし、そうする事で感情が行き先を得て前に進める気がする。なので、noteという場を使って思いのたけを発散させてください。
極めて個人的な記事なので学び要素はゼロです!(ないとは思うけれど念のため、随所にフェイクは混ぜて特定できないようにしています。)
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彼女とはちょうど一年前くらいに出会った。当時僕は結婚相談所に登録しており、そこでマッチングしたのが始まりである。
初めて会った彼女の第一印象は真面目で儚げであり、物腰柔らかく、それでいて現実感がない人だった。
初対面から、僕と彼女はすぐに打ち解けられたと思う。好きな漫画や音楽が合い、映画の解釈では視点が違くて学びがあり、心理学や社会の話では共感し合えた。食事に行くと料理の裏に隠されたシェフの意図への気づきや、芸術作品への考察などを共有した。優しいように見えるのにちょくちょく毒だらけなところも、似た者同士だなと感じた。
一方で、彼女と話していると、不安定さの中に強い芯が感じられた。そういうところが、現実世界で生きていくために芯からずらすことを身に付けた僕には、とても魅力的に見えた。
僕は人と長時間話し合えるということがまれだ。それは人と語り合いたいテーマが違っており、物を見たときの感覚も違っているから。自分を無意識に矯正して話しているのだ。しかし、彼女といる時は本当に素の自分でいれた。間違いなく仮面ではなく珠音が喋っていたし、多分彼女も素で話せていたと思う。
昼から終電まで一緒にいて、まだ話したりないという感覚を感じたことは人生で初めてだった。人の希望は人であると思えた。
要は、僕は生まれて初めて、真に好きな人を見つけられたのである。
華やかの外面の一方で、彼女は色々と問題も抱えていた。理想家を超えて、夢想家だったと思う。彼女からは、現実世界が一般人と全く違う色に見えていた。世界や人類には目的や役割があると考えていたし、人は人類全体のために生きるべきと考えていた。そんなふうに考えていること、やりたいことが抽象的すぎるけれど、そこに打ち込むことに人生の全てをかけていた。
それは僕の目からは尊く見えたが、それ故に社会となじめず、彼女の目線の先には現実世界との接点が存在していなかった。その姿は、ただ死に向かっていく後姿にも見えた。
実際に彼女は常に苦しんでいた。仕事では理想型か過ぎて回りと衝突を起こし、家族とも仲が良いような悪いような。
良い恋愛もしてきているようには思えなかった。本人曰くアセクシャルだそうで、異性として好きと感じることはないらしい。
誰にたいしても、空の上から話しかけてひたすらに本音を隠すのに、誰よりも本音を理解してほしい、共感してほしいという人だった。寂しがり屋なのに誰とも寄り添えない人。結局、今となっては、それだけが僕が彼女を理解できたと胸を張って言える要素である。
僕としては、一度好きになればそういう困難も関係なかった。芯をずらすことが上手な僕が翻訳することで、うまく社会との接点も保てるだろうし、彼女の夢想も現実と何らかの折り合いをつけれるだろうと考えていた。僕が優しく接していれば、長期的には心の氷も解けていくんじゃないかなと楽観的に考えていたのだ。
とはいえ、彼女はといえば、やはり僕に対しても中空から話をしていた。自分の心理的パーソナルスペースには頑なに入れなかったし、本音を話すこともなかった。
でも、「今まで交際していた男性とは明確に違うから、一緒にいれるかも」と言ってくれたし、その言葉だけで僕は全てを投げ打てたのだ。
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そんなある日、彼女は会社をクビになった。上司と反りが合わずに休みがちだったのが厳しく評価されたのだと思う。
彼女としては非常に不本意だったようで、なかなか現実を受け入れられていなかった。ちょうど彼女の視点からは会社に譲歩して、上手くやっていこうと決意した矢先だったからだ。僕はとても同情したし、純粋に彼女が評価されない社会が悲しかった。
また、結婚を前提で交際していたので、僕にとってもこれは不意打ちだった。
このとき程、自分の人生に何が大切かと考えたことはない。いろんな人に相談したし、その考えた結果をnoteにしてまとめたりして。
しかし結論として、守ろうと思える人がいるなら、経済的な不安定さなんて関係ないと思えた。お金なんて人生におけるちょっとした価値の一つだし、それが必要なら、社会に向いている自分が、キャリアアップして年収を上げれば良いだけだ。
僕の仕事は、彼女のメンタルケアだと思った。彼女には居場所があることを示したく、泣いている彼女の話を聞いて、仕事がなくなっても安心して良いことを行動で示そうとした。
しかし、この時期に一つやらかしてもいた。生活は保証するけど遊ぶためのお金は自分で稼いでほしいって言ったことだ。結婚を前提であればはっきりさせておくべき話とも思っていたのだが、T型っぽくて共感力がない人間だと思われたんじゃないかなと思う。
実際に、一番大変な時に、僕からも現状の状況と結婚条件の擦り合わせの話をされるのは、彼女にとってかなりのストレスだったと思う。
(とは言え、結婚前提の交際なのだから、そういうところは確りすべきだと思っていたのだ…。)
仕事を失った、というより社会との接点を失った彼女は、より自らの世界に引きこもっていった。図書館にこもり、仕事や結婚なんかよりも、真実の究明に心血を注ぐようになる。
僕と出会う前からその傾向はあったのだが、この頃から、彼女は明確に社会で生きることを放棄した。彼女は口では「社会が大事」と言っていたが、意識と無意識は明らかに分離していた。
この時から、いや実際は生まれた時から彼女は、救世主になりたかったのだと思う。見えない隣人を救いたいと考えており、普くこの世界を愛していた。そして同じくらい、その愛を受け容れないなれないこの社会を、現実を憎んでもいた。
そんな彼女にとって、この時期の僕は、社会の代理人だったように思う。現実を開陳することで、彼女の世界を否定する存在。僕は徐々にこのように見られていった。
そんなことも関係なく、考える必要がないほど僕が魅力的な男性であれば良かったのだろうが、なかなか彼女の理想に到達できる程の器量ではなかったのである。
顔を会わせる度に、彼女は僕に対して違う存在になるように要求するようになっていった。(わたしはこんなにリスクを冒しているのに)もっとリスクを冒したらどうか、理想があるならなぜ社会を変えないのか、なぜ口先だけで行動力がないのか。という事を再三指摘した。
確かに、それらは僕が社会と適応するためにずらしてきた芯そのものであった。そういう人生って素敵だなと思いながら、そんな生き方から目を反らして、「賢く」生きたのは真実である。そんな心理的な僕の歪みは彼女にとって受け容れられないものだったのだろう。
徐々にそれはエスカレートしていき、起業家のブログとかを読ませて、意識を改めるように求めるようになっていった。しかしそれは、僕としては社会と折り合いをつける過程で、円熟させてきた部分を急に尖らさせられる行為であった。
あわせて、Fiチックな考え方を僕が取り入れていったことも彼女からしては大きな不満だったようだ。述べたように人類全体の中での役割という観点で考えている彼女にとって、個人の感情は利己的であり、彼女にとってのノイズだったようだ。
一方で、僕からしても苦言はあった。仕事を失った彼女は新しく、五年単位の時間的投資が必要な進路を選択しようとしていたためだ。
なぜその道を選びたいのかということは散々話し合ったのだが、僕からすると話すたびに目的がブレて明確でないし、会社員よりも遥かに厳しいその道を、彼女が性格的に耐えられるとも思えなかった。結局は、目の前の状況から目を反らして「なにかを成し遂げつつある自分」になるための逃避にしか見えなかったのである。
そして何より、その絵の中に僕がいなかったのも、僕が受け容れられない理由だった。結婚して家庭が欲しいから結婚相談所にいたんじゃなかったの?と。
こうして、僕と彼女の衝突は徐々に増えていった。
※この文章では仕事がなくなったことが不仲のトリガーみたいになってるけど、これは僕からの視点だ。もしかしたらそんなことは関係なく、芯のずれたところは元から違和感を感じられており、その表明のタイミングが同じだけだったのかもしれない。
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半年くらいたったころくらいから僕らは、「方向性で反りが合わないけれど、そこに目をつぶっていれば話は楽しい」、という関係であった。言いたいことがあるけど、喧嘩になるからお互いに手加減していた。
二人で違う点は、彼女からしたら僕は選択肢の一つだったことに対して、僕にとっては唯一の選択肢だった事だろう。彼女の機嫌を損ねないよう、上目使いになることが多くなっていった気がする。
だから、「僕が年上だし、安定している大人だから」という理由で、論戦ではリスクを冒さず、いなすようになっていった。彼女の指摘を受け入れてベンチャーを興すなんて、今でも荒唐無稽だと思っているし。口先を使い、本気の論戦の口火が切られないよう、僕も本音を隠すことが増えていった。
そういう態度は、彼女としては失望だっただろう。僕の事を話のわかる相手だと思っていたのに、直すべき点を指摘しているのに、正面から取り合ってくれない。直そうとしない。
そして、好きという感情で動いているわけではない彼女にとっては、この時点で(もしくはもっと前から?)僕と一緒にいる意味に疑問符が付いたのだと思う。僕と一緒にいることに、明白にストレスを感じるようになっていった。
そんな感じで撫でるような、時折傷つけあうような関係性が続いたある時に、起こるべき衝突が起こった。
彼女はいつものように僕に変わるべきという説教をし、僕は返す刀で
「君はもっと現実世界に足をつけるべきだし、その第一歩として自分のプライドの高さを自覚すべきだ」という話をした。
これは僕が本心からずっと思っていたことだ。男性に対して、家族に対して、社会に対して高い理想を求め、ついてこれない相手を「人間に見えない」と切り捨てる態度は、明らかに彼女の生きづらい理由の一つだったし、何よりそのことに対する自覚を徹頭徹尾持っていない事が、彼女の自己分析を濁らせていたと考えている。
彼女が僕に変化を求めるのと同様に、僕も変化を求めたのだ。
彼女はフリーズした。
その日から僕が彼女の声を聞くことはなく、メッセージのみのやり取りとなった。曰く、彼女は精神的なトラブルがあり、その影響で自分の本心がわからないということ、そのための時間が欲しいとのことだった。
確かに、彼女の内面の精神的な不安定さはずっと感じていたことだし、問題に向き合うつもりがあるのかなと思えて、僕も冷静になる必要があると思ったので、連絡を取らずに待った。
この時が、僕が一番苦しい時期だったと思う。自分の気を紛らわせるために、人と話をしたり、自分磨きをしたりして気を紛らわせた。そうしながらも、常に僕は一つのことを考えていた。
彼女が最後に言っていた、「どうしたら寂しくなくなるのかな」という問いである。この先付き合うにせよ別れるにせよ、この考察を落とすことだけが、僕ができる最も価値のあるプレゼントだと思ったからだ。
しかし、その後僕のスマホに連絡通知が来ることはなく、僕は人づてに別れた事になっていることを知った。
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結局彼女にとっての僕が何だったのか、よくわからない。好きじゃないのになぜ一緒にいたのか?好きになれそうだと思えた時期があったのか?好きになれないなら何故振らないのか?
結局僕の視点には、「自然消滅が望ましいと思われるほど、軽んじられていた」という結果のみが残っている。
…というように悲劇のヒロイン症候群に浸って被害者ぶる方が僕にとって気持ちよいのだが、一応分析者として考えると、これは悪意の結果ではなく、心の葛藤にけじめをつけられなかった、弱さの結果なのだと思う。
パートナーとして決めきれない感覚、僕が変化して好きになれたら楽なのにという希望、自分の生活のためにキープにする利己性、自分がわからなく申し訳ない気持ち、それら全てから目を反らしたい気持ち。そんな葛藤のなかで、「フェードアウトするのが僕のためにベストな選択なのだ」と『論理的に』結論付けたのだろう。
これが、約一年にわたる僕と彼女の関係の顛末である。
僕は彼女から学ぶことが多かったし、尊敬できる面も多かった。一方で、彼女は一貫して非論理的であり、突っ込みたい所だらけだったが、それ故にお互いの不足を補い合える良い関係だと思っていた。
そして、単純に好きだった。
結果としては、僕は彼女に愛される器ではなかったし、彼女は人を愛せる状態でなかった。そして、愛せない人とは結婚すべきではない。それは僕自身が過去に実証している。
そういう、ごく自然の結末に落ち着いたのだと思う。
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この記事は彼女への手向けと言う風に繕っているけれど、本人に伝えずこんなところに書いている時点で、結局は僕に対する手向けである。ただ僕の中で想起してただ僕の中で忘れ去られるだけの感情が、存在していた事を残したかっただけだ。
ようは、必死に考えたあの頃の自分の気持ちを、文章にすることで弔って前に進む儀式である。
なので、最後に自分が必死に考えていた、「なぜ彼女は寂しいのか」ということをボトルメールにして手向けにしたい。
輪をかけて個人的な話なので、無制限公開にするのも違うと思い、有料にさせてもらいます。
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