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Nikon F2について語る!(前編)
今回は久しぶりにフィルムカメラを紹介したいと思う。プロ向けの機種として開発・発売され、あの冒険家、植村直己氏も愛用したと言われているNikon F2。機械式フィルムカメラの最高峰とまで言われ、とても完成度の高いカメラなのに、比較的安く購入できるため、初心者の方にもお勧めできるカメラとなっている。今回はそんなNikon F2の魅力を存分に語りたい。
◆F2の概要
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Nikon F2は1971年にNikonから発売されたプロ向けフィルム一眼レフ。以下に基本スペックを記す。
受光面 : 36×24㎜(35㎜フルサイズ/ライカ判)
マウント : Nikon F(非Ai/Ai連動)
SS最高速 : 1/2000
測光範囲 : EV1〜17
測光素子 : Cds/SPD
ISO対応範囲 : 6~6400
使用電池 : SR44×2(露出計使用時のみ)
発売年 : 1971年9月1日
これまでNikonは数えきれないほどのカメラを発売してきたが、その中でも最古のシリーズかつ最高の質感、完成度と歌われている「S型シリーズ」。筆者はその最終形態が今回紹介するF2だと考えている。
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S型の基本的設計を受け継いだFシリーズの初代機であり、名機と誉高いNikon F、そのカメラを元に設計されているからである。視野率100%のファインダー、素晴らしいシャッターフィーリング。そのどれもが実用性に富んでいる。
さらにF2ではFでは達成できなかった最高速1/2000の達成や裏蓋の開閉方法変更、そしてなによりもレリーズの位置が変更されたことにより、大幅な使用感の改善がされている。またフォトミックファインダーという露出計を搭載したファインダーを着脱式にし、取り換え可能としたことで、1977年に行われたレンズのAi化(露出伝達方式の変更)にも即座に対応している。
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もちろんFの完全な上位互換というわけではない。シャッターフィーリングが素晴らしいとは言え、Fのそれに比べたら劣っているし、レリーズ位置の変更だって発売当初は
「私の指はFのレリーズ位置に曲がっている!なんてことをしてくれたんだ!」
と一部のプロからは不満が噴出したという。しかし、それらを踏まえてもF2には“機械式フィルムカメラの最高峰”と言わしめるだけの良さがあると筆者は考えている。「使ってみればわかる。」という言葉でしか良さを説明できない筆者の文才を赦してほしい。
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こんなに小さいパーツなのにつけた時とつけない時の使用感の差はものすごい。
◆交換式ファインダーについて
先述の通り、F2にはかなりの数の交換式ファインダーが用意された。特にフォトミックファインダーは何回か改良がなされており、ここではそれらの各モデルについて紹介する。もし購入する際には参考にして欲しい。
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・DE-1/アイレベル
特徴 : 三角屋根と言われる、所謂カメラらしいデザイン。露出計非搭載のためファインダー内表示がない。
測光素子 : -
ISO感度対応範囲 : -
露出計表示方法 : -
レンズ連動方法 : -
発売 : 1971年
・DP-1/フォトミック(無印)
特徴 : 初代フォトミック。レンズの開放値を前板右上の小窓に表示。
測光素子 : Cds
ISO感度対応範囲 : ISO6~6400
露出計表示方法 : 追針式
レンズ連動方法 : カニ爪連動
発売 : 1971年
・DP-2/フォトミックS
特徴 : LEDの表示により夜間や暗所での撮影に対応。フォトミック系の中でも特に頭でっかち。前面の貼り革には横ストライプのものを採用。
測光素子 : Cds
ISO感度対応範囲 : ISO12~6400
露出計表示方法 : LED式
レンズ連動方法 : カニ爪連動
発売 : 1973年
・DP-3/フォトミックSB
特徴 : LEDの表示により夜間や暗所での撮影に対応。SPD測光素子の採用で測光精度の向上を実現。前面の貼り革には横ストライプのものを採用。
測光素子 : SPD
ISO感度対応範囲 : ISO12~6400
露出計表示方法 : LED式
レンズ連動方法 : カニ爪連動
発売 : 1976年
・DP-11/フォトミックA
特徴 : Ai方式の採用によりレンズ着脱の作業簡略化を達成。初代フォトミックの実質的な後継。
測光素子 : Cds
ISO感度対応範囲 : ISO6~6400
露出計表示方法 : 追針式
レンズ連動方法 : Ai連動
発売 : 1977年
・DP-12/フォトミックAS
特徴 : Ai方式の採用によりレンズ着脱の作業簡略化を達成。LEDの表示により夜間や暗所での撮影に対応。前面の貼り革には横ストライプのものを採用。フォトミックSBの実質的な後継。
測光素子 : SPD
ISO感度対応範囲 : ISO12~6400
露出計表示方法 : LED式
レンズ連動方法 : Ai連動
発売 : 1977年
・DW-1/ウエストレベル
特徴 : 基本的な構造はFのものを踏襲。その名の通り腰の位置に構えて上から覗き込んで撮影する。
測光素子 : -
ISO感度対応範囲 : -
露出計表示方法 : -
レンズ連動方法 : -
発売 : 1971年
・OA-1/アクション
特徴 : ファインダーから目を離しても撮影が可能なファインダー。
測光素子 : -
ISO感度対応範囲 : -
露出計表示方法 : -
レンズ連動方法 : -
発売 : 1971年
・DW-2/高倍率ウエストレベル
特徴 : その名の通り腰の位置に構えて上から覗き込んで撮影する。DW-1よりも高倍率の視野を実現。
測光素子 : -
ISO感度対応範囲 : -
露出計表示方法 : -
レンズ連動方法 : -
発売 : 1971年
(長くなったので後編へと続く)