【短編ホラー】忘れ物③
~裕太の記憶~
小学5年生の夏休み初日。
今日は四人で、以前から約束していた学校のプールに行った。
その帰り道、俺は浮かれていた。
浮かれている人がもう一人。
香織だ。
実は昨日、香織に告白されたんだ。
まあ俺も、前からかわいいとは思っていた。
断る理由も無かったし、俺も好きだと伝えた。
つまり、両想いってことになったわけだ。
早速、今日の午後、二人で図書館に行って宿題をする約束をしていた。
家で昼ご飯を食べて、足早に図書館に向かった。
でもその日、香織は来なかった。
理由はわからないが、まあこんなもんかと自分を納得させようとしている自
分がいた。
宿題はちっとも進まなかった。
たしか、プールの帰り道、明子と二人で忘れ物を取りに行くと言ってたけど...
何かあったのかな?
こんな感じで、その日は家に帰ってからもずっと、なんとも言えない感情で過ごした。
翌日、母から学校のプールで香織の遺体が発見されたと伝えられた。
警察が話を聞きたいらしい。
聞かれた質問には全部答えた。
香織に告白されて、図書館で待ち合わせをしていたことは言わなかった。
その後のことは、あんまり覚えていない。
なぜか思い出そうとすると意識が遠のくんだ…
つづく
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