どうでもいい話「音楽文化においてサブスクリプションサービスが与えた影響を考えてみる」

2010年代から音楽におけるサブスクリプションサービスが登場し世の中に浸透、普及し始めて久しい、現代でもCDやレコードが販売されることはあるが、音楽を聴くメディアとして購入するというよりかは、どちらかというとファンアイテムのような扱われ方で、もはや主要なメディアとしてフィジカルで音楽を買うという文化は衰退したと言える。これにより音楽界にはどのような影響があったかを自分なりに考えたいというのが今回の記事だ。
まずよく言われるのが、音楽の消費の速さについてだ、音楽がファストフードのように聴かれては飽きられ、聴かれては飽きられを繰り返している現状は正直好ましくはないと思う、しかしながらスマホ一台あれば好きな音楽を検索してワンタッチするだけで世界中のほとんどの音楽が聴けてしまうのだ、これだけ気軽に聴けてしまうとそりゃ思い入れも出来にくいし、どんどん新しい物を求めてしまうファン心理も理解は出来る。
こういった流れによって何が起こるのだろうか、私が個人的に感じているのがアルバム文化の衰退である。当然現代のファンダムはコンスタントな活動を求めている、なら例えばリリースしたい曲が12曲あったとして、それをアルバム一枚として1日で一気にリリースするより、一ヶ月に一曲ずつデジタルシングルにしてバラバラに出した方が一年間、間を持たすことが出来るし、現代のファン心理的にはそのやり方の方が飽きられにくい、何ヵ月もリリースがないようなアーティストは現代の音楽の消費スピードの中ですぐ飽きられてしまう(少なくともライト層には)、個人的にはこのやり方が苦手でどうしてもアルバム一枚で一つの作品としてくれた方がワクワク感を感じて好きなのだがこのやり方ももはやコスパが悪いのだろう。
しかしながらサブスクの普及による影響はこういったマイナス面のみではない、それは若年層のアーティスト全体の音楽的素養の底上げという部分にある、現代の若者はいわば「サブスクリプションネイティブ世代」であり、この世代のミュージシャンは若い頃から世界中の音楽に気軽にアクセス出来るわけだ、国も時代もジャンルもフィジカルではもう手に入れられないものだって関係なく、世界中の音楽のほとんどを聴けて、何でも自分の作品に取り込んでいくことが出来る、最近のアーティストのレベルは高いのはそこに要因があると思う。
ここで紹介したいのがgeordie greep / the new soundである

この作品はブラックミディのギタリストでもあるジョーディーグリープのソロアルバムなのだが、ブラックミディでも感じるプログレ的な展開はもちろんジャズ的なアプローチ、オペラ的なエッセンスやサンバのパーカッシブな要素まで、一枚のアルバムでこれだけ幅広い要素を網羅しているのである、私の個人的な感覚にはなるが、若い世代のアーティストの中で彼と同じように様々なジャンルの要素を参考にする、いわゆるミクスチャー的な感覚を持ったアーティストは以前と比べると増えているように感じている、そこにはやはり、多少なりともサブスクリプションサービスによる影響というのはあると私は感じていて、こういった質の高い音楽が産まれ易くなるという点がサブスクリプションサービスのプラスの面だと私は考えている。
とこれまで長文で文章を書いてきたがつまるところ、サブスクリプションサービスが普及したことにより、ライト層はよりライトに音楽を楽しむようになり、マニア層はよりマニアックに音楽を聴くようになったというのがこの話の簡単な総括となるだろう。


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