特別局や特別記念局の耳が悪い理由
アマチュア無線業界では、祭事催事に合わせて期間限定の無線局を開設することがあります。日本のアマチュア無線局(業務用無線局もそうです)には、通常Jで始まる6桁のコールサインが免許されますが、特別局には希望により祭事催事にちなんだ英数字の割当を受けることができます。期間限定で珍しいコールサインは、一般のアマチュア無線局に比べて目立つので、多くの局から呼んで頂けます。
よくあるクレームに「呼んだのに無視される」「受信能力や受信技能が低い」「オペレーターの耳が悪い」があります。特別局を運用した側から見た原因を列挙してみました。
オペのばらつき
アマチュア無線の免許を持っていても、パイルを捌いたことの無いOPが多数派。使っている変調方式やバンドが普段と異なると、経験を生かせないことがあります。
内蔵スピーカーでの運用
ギャラリーに見せることを意識した展示運用では、ヘッドフォンを使わないことがあります。交信相手の電波が弱い再生音はノイズまみれで耳障り。なので、ギャラリーの手前、音量を上げることはできないのです。このため微弱な局が聞こえないのです。
隣の無線機
たいていの特別局はマルチバンド運用で、隣にもリグとOPがいます。隣の声やボリュームが大きいと、スピーカーの音が聞こえないのです。
相互混変調や抑圧
アマチュアバンドが3.5MHzから始まる倍数高調波帯に割り当てられており、マルチバンド運用の際、隣の送信波で妨害を受けることがあります。受信側フロントエンドアンプが飽和して、AGCが効いてしまい何も聞こえないことがあります。
ギャラリー、来客、見学者対応
質問を思いついたギャラリーは、CQを出し終わった所で声をかけてきます。目の前のオペレータが話し終わったタイミングです。サポートスタッフがいないときは、ギャラリーに対応しなければならないので、応答に対応できないことがあります。
慣れないリグ
特別局のリグは、普段自宅で使っているリグと異なる機種であることがほとんどです。機種が異なると、スイッチの場所や機能がことなるし、マルチモードボタンとなると、無線機操作パネルの謎略号を頼りに必死に探すことになります。大抵、あきらめることになります。最近のリグは、RIT使うのも一苦労です。
妨害
アマチュア無線にも、意地の悪い人がいます。他の局が楽しむのを見ると、いろんな感情が沸いて自制できないのだと思います。無変調、短点断続波、ワッチ無しでの周波数チェックで潰されることが割と多いです。SWR測定やオートアンテナチューンを実行するとスイープ波が発射されるのはご存じでしょうか。
疲労
人間なので、疲れるし飽きます。特別局に対してラグチューを始める方にも困ります。オリジナル通話表を使う方、通じない時は、法定通話表の利用をご検討ください。フレンド局のコールサインを使って二度呼びしてくるのも、モヤモヤしながらログに記入するので疲れます。指定無視応答の処理にも気を使います。ピックアップされなかったことに腹を立てて妨害を始める局も割と目立ちます。
というわけで、特別局側も制約のなか運用していることをご理解頂きたいです。
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